九州新幹線長崎ルート整備 2023年度着工極めて困難
- 企業・経済
- 2020年8月2日
九州新幹線長崎ルート
国土交通省は31日、九州新幹線長崎ルートの未着工区間(新鳥栖-武雄温泉)の五つの整備方式に対応できる環境影響評価(アセスメント)の手続き入りについて、佐賀県から改めて「受け入れられない」と回答があったと明らかにした。これで同省が想定していた2023年度着工は極めて困難になり、五つの方式のうちフル規格で整備した場合、全面開業が35年度からずれ込む可能性が高まった。
長崎県の中村法道知事は記者会見で「大変残念に思う。(与党の)次の財源論議に間に合わないことも想定され、大変深刻な事態」と危機感を示した。
同省は今年6月、佐賀県に対し、▽フル規格▽ミニ新幹線▽フリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)▽スーパー特急▽武雄温泉駅で新幹線と在来線を乗り換えるリレー方式-の五つの整備方式に対応できる環境アセスの手続き入りを提案した。
通常は整備方式が決まってからアセスに入るが、リレー方式で暫定開業する22年度の翌23年度に、新鳥栖-武雄温泉を「切れ目なく」着工させるため、2~3年かかるアセスと整備方式の議論を同時並行で進める狙いだった。
佐賀県はフル規格を狙ったアセスと警戒し、これまで2回にわたり同省の提案を拒否した。だが、この状態が続けば北陸新幹線を含めた与党の建設財源論議に乗り遅れ、リレー方式が長期固定化する恐れもあったため、同省が31日を期限に再考するよう求めていた。
同省がこの日、電話で同県に問い合わせたところ、従来と同様の見解だったという。同省の担当者は「23年度の着工は極めて困難になったが、アセスと整備方式の議論を同時に進めることで迅速に着工できる。今後の協議で引き続き理解を求めたい」と話した。次回協議は8月中にも開かれる見通し。
新鳥栖-武雄温泉の整備方式を巡っては、当初導入予定だったFGTの開発が難航したため、長崎県と運行するJR九州はフル規格を要望。佐賀県は財政負担や並行在来線の在り方など「さまざまな問題が複合的に横たわっている」として「フル規格は受け入れられない」としたが、与党検討委員会は昨年8月、「フル規格が適当」との基本方針をまとめた。同12月、赤羽一嘉国交相が佐賀県の山口祥義知事に「幅広い協議」を呼び掛け、今年6月、同省と同県は五つの整備方式について協議入りしていた。
一言コメント
なかなかうまくいかないね。
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