休業再要請、判断分かれる 経済との両立課題 新型コロナ
- 政治・経済
- 2020年7月21日
新宿・歌舞伎町を行き交う人たち=9日、東京都新宿区
新型コロナウイルスの感染が7月に入り、東京を中心に各地で広がりを見せている。
緊急事態宣言下では、全国的に幅広い施設に休業要請が実施された。宣言解除で感染防止と経済活動の両立が課題となり、感染者が増えている自治体では、再度の休業要請をめぐり判断が分かれている。
◇クラスターを警戒
「同様のことがあれば、医療提供体制に影響を及ぼしかねない」。ショーパブでクラスター(感染者集団)が発生し、100人以上が感染した鹿児島県の担当者はこう語り、新たなクラスターを警戒する。県は8日から新型コロナ対策の特別措置法24条に基づき、ナイトクラブなどの業種のうち、接待を伴う飲食店に2週間の休業を要請。感染の封じ込めに注力する。
埼玉県も8日、感染者の増加を受け、対策が不十分な飲食店などの利用自粛を県民に呼び掛けた。その後も「夜の街」で感染したとみられるケースが多数確認され、13日からキャバクラなどのうち、業界の対策ガイドラインを満たしていない店舗に休業を要請した。
大野元裕知事は「クラスターが発生している、あるいは現に拡大している業種を対象に対策を講じてもらうのが趣旨だ」と説明。「対策を徹底していない店舗を休業に追い込むものではない。強く自主的な取り組みを後押しする」と経済活動に配慮を見せる。
◇都、広範囲の影響懸念
連日、多数の新規感染者が続く東京都は15日、感染状況の評価を4段階で最も深刻な「拡大している」に引き上げた。小池百合子知事は「感染拡大警報の状況にある」と改めて事業者に対策の徹底を求めたものの、休業要請には踏み込まなかった。
影響が広範囲に及ぶ懸念に加え、これまでに都は休業要請などに応じた中小事業者に最大100万円の協力金を2度にわたって支給しており、再び給付金を出す財政的な余力が乏しい事情も背景にあるとみられる。
都が慎重な姿勢を示す中、豊島区は独自に休業要請を行う方針を打ち出している。ホストクラブでクラスターが起きた場合、その店が要請を受けて10日以上休業すれば50万円の協力金を給付する。
特措法24条では、休業を要請できるのは都道府県知事と規定。特定の店舗ではなく、業種を対象とするよう政府がガイドラインで示している。
区は法的根拠がない任意の要請でも効果があると判断。高野之夫区長は区民へのメッセージで「感染者を早期に発見し、先手、先手で対策を実施していく必要がある」と訴えた。都は区への協力に前向きで、財政支援を約束している。
◇法改正求める知事も
都と区の連携について、鳥取県の平井伸治知事は「24条ではできないことをやれないかという知恵だとみている。それぐらい特措法が使いにくい状態になっている」と指摘する。こうした動きを受け、西村康稔経済再生担当相は17日、感染防止対策が不十分な場合は、24条で個別店舗への休業要請ができるとの見解を示した。
特措法に関しては、小池都知事は休業要請などに応じない事業者への罰則規定の追加、大阪府の吉村洋文知事は知事権限を強化する法改正を主張している。
一言コメント
判断が分かれるのは当然だ。
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