「コロナ滞納」オーナー不安 飲食店などの家賃負担深刻化
- 企業・経済
- 2020年6月3日
■自治体が独自支援の動き 新型コロナウイルスの感染拡大による休業や収入減で、飲食店をはじめとする個人事業主や中小企業の家賃負担が深刻化する中、賃貸人であるオーナーも「コロナ滞納」に対する不安にさらされている。国は個人事業主や中小企業への家賃補助の拡充を進めているが、オーナー側に対する支援策は少ない。家賃の減額を求める声は強まっており、独自にオーナー側への支援に乗り出す自治体も出てきた。(本江希望) ◇ 「家賃の減額要請があったが、どうすればいいか」「オーナー側への助成金はあるか」-。不動産に関するトラブル解決をサポートするNPO法人「日本地主家主協会」(新宿区)には、オーナー側からの家賃に関する相談が届く。 理事長の手塚康弘さん(44)は「賃借人から減額の申し出があった場合、減額しても生活に支障がない場合は手を差し伸べることも必要だと思う。ただ、家賃だけで生活する人や、借入金の返済やリフォームの出費などで余裕がない人も多い。それぞれが置かれている状況で判断してほしいと伝えている」。 オーナー側が受けられる直接支援は少ない。新型コロナの影響で売上高が大幅に減少した中小企業に最大200万円、個人事業主に最大100万円を支給する政府の持続化給付金や、固定資産税の減免などの税制措置が該当する。 「もっとオーナー向けの直接支援が拡充されたら、家賃の減額を受け入れるオーナーも増えてくるのではないか。賃貸人と賃借人、両方向への支援が必要だ」と手塚さんは指摘する。 一方で、独自に店舗などのオーナー側に支援を行う自治体も出てきた。 都内では、新宿区が5月7日から店舗などの家賃を減額した賃貸人に対して1物件当たり月額最大5万円の助成を行う「店舗等家賃減額助成」を始めた。担当の楠原裕式(ひろのり)副参事によると、1日時点で120件の申請書が届いており、電話や窓口での相談件数は約1400件に及ぶという。 「区としてオーナーを支援することで、家賃の支払いに困っている事業主らの支援につながれば」と期待する。今月上旬からは港区も店舗などのオーナー向けの支援事業の開始を予定している。 調布市のオーナーや大家を中心とした「東京調布大家の会」代表の海野真也さん(46)によると、飲食店が多いテナントビルのオーナーは家賃の滞納に不安を抱えているといい、「大家は自分の物件で入居者の命を預かっているという感覚でやっている。入居者とともにこの状況を乗り切りたい」と話した。
一言コメント
滞納だけでなく退去も増える可能性がある。
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