「大阪モデル」に飲食店主、期待と不安
- 政治・経済
- 2020年5月6日
新型コロナウイルスの感染拡大の収束が見通せず、緊急事態宣言が延長される中、大阪府が5日、外出自粛要請や休業要請を段階的に解除する独自基準「大阪モデル」を策定した。「一つのゴールが示された」。初めて示された具体的な出口戦略に府内の事業者からは前向きな声も上がった一方、医療現場からは懸念する意見も出た。
「数字で示されたことは非常に分かりやすい」
日本一長いといわれる大阪市北区の天神橋筋商店街で居酒屋を営む男性(48)はほっとした様子でこう話す。普段と比べるとにぎわいは少ないが、買い物客らで人通りは絶えない。それでも店内をのぞくと、閑散としている飲食店が目立っている。
新型コロナの影響で店内の売り上げは約1割に激減。自身も感染の恐怖はぬぐえないが店員らの生活のため休業はせず、弁当の店頭販売などを続けてきた。
それでももうけが見込める酒が売れないため、2月以降は赤字続きだ。「どこまで走っていいのか分からないマラソンをしている気分だった」
「大阪モデル」では、感染経路不明者の数や陽性率、重症者の病床使用率という指標を設定し、1週間連続で基準を満たせば、段階的に自粛要請を解除する仕組み。解除の可否の判断は15日に行われるが、2日から4日までの3日間は基準を満たす状況が続いており、「解除は近いのでは」との期待が広がる。
ただ、解除が決まっても自粛ムードは続くとみられ、日常が戻るかどうかはまだ見通せない。
ミナミのたこ焼き店店長の高田隆博さん(41)は、「目の前にお客さんが戻ってくることでしか安心できない。今は台風や大雨のような災害が1、2カ月続いているような状況。いつまでもつのだろうか」とつぶやく。
若者向けの店が集まるミナミの「アメリカ村」で、洋服店の店長を務める男性(30)は、「どうせすぐには客足は戻らないだろうし、中途半端に解除してまた感染者が増える危険性があるくらいなら、5月いっぱいはこのまま自粛を続けた方がいいのではないか」と疑問を呈した。
一方、コロナ患者を受け入れる府内の病院に勤める男性医師は、「物資も人手も逼迫(ひっぱく)していて、決して余裕がある状況ではない。自粛を緩めて医療崩壊になったらどう責任を取るんだ」と憤った。
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業種によっても見方は様々だ。
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