地方空港、4月の国内線が7割減 運営からの撤退懸念も
- 企業・経済
- 2020年4月26日
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、4月に地方空港へ運航する予定だった国内線のうち約7割が運休していることが25日、分かった。地方空港にとって主要路線である国内線の縮小が長期化すれば、空港の維持そのものが危うくなる。専門家は運営から撤退する企業が続出し、国内の航空ネットワークが崩壊しかねないと指摘している。
国が輸送網の拠点として指定する国内の「拠点空港」のうち、大都市圏にある羽田、成田、中部国際、関西国際、大阪(伊丹)空港を除く23空港について、航空会社が発表する運航状況と地方空港の時刻表を照らし合わせて調べた。20日現在、地方空港からの出発便で、4月中に1日でも運休となったのは計画されていた1日計1095便のうち68・9%の計754便に上った。
感染拡大を防ぐための自粛で出張や観光などの航空需要が急速に縮小を続けたため、航空会社は連日のように路線の運休・減便を決めている。
当初計画で運航本数の多かった羽田行きは運休・減便が相次ぎ、たとえば福岡空港では1日54便ある羽田行きのうち、40便に運休が出た。また、もともと本数の少ない、地方空港同士を結ぶ線にも減便が及んでいる。新千歳空港では、1日1便しかない小松、岡山行きなどが完全運休。高松空港は1日で羽田行き2便程度しか運航していない。
一方、地方空港の国際線も政府が実施している入国制限強化などの影響で、インバウンド(訪日外国人客)に期待して路線誘致を進めてきた中国や台湾、韓国などと結ぶ便がほぼゼロとなっている。
新型コロナによる運休・減便は空港が航空会社から得る着陸料や施設使用料だけでなく、ターミナルの店舗の売り上げを落ち込ませ、空港運営に深刻なダメージを与えつつある。空港は滑走路の維持など固定費が大きい分、減収によるダメージもふくらみやすく、国や地方自治体が管理・運営する地方空港では、赤字は国や地方の財政で補われるが、存続について議論を呼ぶ可能性がある。
近年は、仙台国際空港で平成28年7月に東急グループなどが出資する会社による運営が始まったのを皮切りに、高松、福岡空港が民営化。今年1月に新千歳空港など北海道の7空港の運営権が三菱地所など17社が出資する北海道エアポートに移行、今月1日には熊本空港が民営化されるなどの動きが進む。しかし今回の損失を、民間でどこまで負担できるかは不透明だ。
関西学院大の上村敏之教授(公共経済学)は「運休・減便が長期化すると、路線を廃止する航空会社が出てくる。民間企業では空港の赤字を支えきれず、運営から撤退する事例も出てくるかもしれない。空港を維持するためには、国や地方自治体が支援する仕組みが必要だ」と話している。
一言コメント
空港そのものも正念場だ。
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