低姿勢で協力呼び掛け 安倍首相会見、にじむ危機感
- 政治・経済
- 2020年4月18日
緊急事態宣言の対象を全国に広げたことを受けて開いた記者会見で、安倍晋三首相は移動の自粛を呼び掛け、新型コロナウイルスの感染拡大抑制へ国民の協力を求めた。
ただ、一連のウイルス対応ではスピード感の欠如や国民感情とのずれも指摘される。現金給付をめぐる混乱を陳謝するなど低姿勢で「連帯」を訴えた首相の姿からは、政権運営への危機感がにじんだ。
「ここに至ったプロセスにおいて混乱を招いたことは私自身の責任であり、国民の皆さまに心からおわびを申し上げたい」。17日の会見で首相はこう語り、減収世帯を対象に30万円を給付する当初方針を取り下げ、全国民に一律10万円を給付するとした公明党の主張を受け入れたことに理解を求めた。
公明党は今回、連立離脱をちらつかせて首相に翻意を迫ったとされる。全世帯への布マスク配布や自宅でくつろぐ動画のインターネット交流サイト(SNS)への投稿など、首相主導の一連の情報発信は、公明党支持者から不興を買っていた。各種世論調査で内閣支持率が下落し、公明党から「このままでは泥船だ」(関係者)と突き上げられ、2020年度補正予算案を組み替える展開となった。
しかし、いったん与党内手続きを終えた予算案の内容を国会提出直前に変更するのは極めて異例だ。政府関係者によると、首相が周囲から「公明党の言いなりと思われるのはまずい」と助言されたことが、政策変更の「論拠」としての緊急事態宣言の対象拡大につながったという。
首相は17日の会見で、「緊急事態宣言を全国に広げたことでほとんどの国民が外出を自粛しなければいけない」と情勢の変化を強調。「皆でこの状況を連帯して乗り越えていく中で、一律10万円を配る方向が正しいと判断した」と説明した。
10万円給付が決まった16日夜、首相は公明党の山口那津男代表に電話し「今後とも自公が結束していこう」と呼び掛け、山口氏も同意した。が、与党の圧力に首相が譲歩した今回の経緯は、「一強」を誇った首相の求心力低下を物語る。
立憲民主党の安住淳国対委員長は17日、「10万円を配る理由に(緊急事態宣言を)全国に出したと思われても仕方がない」と記者団に強調。首相が宣言を「政治利用」したとして追及を強めていく構えだ。
一言コメント
こういう時こそ迷走しないでほしい。
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