過去最大108兆円、主要国と足並み 財政再建は一段と険しく 経済対策
- 政治・経済
- 2020年4月8日
政府の過去最大に上る緊急経済対策は、世界的な新型コロナウイルス感染拡大を受け、大規模な財政出動を急ぐ主要国と足並みをそろえた形だ。
事業規模はリーマン・ショック時の56.8兆円を大幅に上回る108.2兆円に達し、日本の国内総生産(GDP)の2割に相当。コロナ収束後の景気回復を見据える安倍晋三首相は「諸外国と比べても相当思い切ったものだ」と訴えたが、危機的状況にある財政再建への道が一段と険しくなるのは必至だ。
日米欧に中国、ロシアを含む20カ国・地域(G20)は3月下旬の首脳声明で計5兆ドル(約550兆円)超の経済対策実施を明記。コロナによる壊滅的な打撃を回避しようと協調姿勢を鮮明にした。コロナがまん延している米国では既に2兆2000億ドル(約237兆円)に上る対策法が成立し、財政規律を重んじるドイツも7年ぶりに赤字国債を発行してコロナ危機を乗り切る構えだ。
緊急事態宣言が爪痕を残す旅行や飲食店、イベントなどでの消費喚起もにらみ、未曽有の108兆円に上った関連事業を支える財政支出は40兆円に迫る。このうち2020年度補正予算案で手当てする16兆7058億円の9割近くを赤字国債で賄う。公債依存度は当初予算段階の31.7%から41.3%に跳ね上がる結果となり、麻生太郎財務相は7日、「間違いなく(財政は厳しく)なる」と認めざるを得なかった。
国の借金である国債発行残高(20年度末見通し923兆円)の対GDP比は、主要国の間で突出する。首相の経済政策「アベノミクス」で12年12月から始まった「戦後最長」の景気拡大期に財政再建にかじを切るべきだったとの意見は根強く、自民党中堅議員は「平時に健全化努力を惜しんだツケ」への警戒を唱えた。世界的に金融政策の限界がささやかれる中で、財政頼みの国際協調が勢いを増し、財務省幹部は「やむを得ない」とほぞをかんだ。
一言コメント
後にツケが回るのは確実だ。
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