宣言直後、それぞれの覚悟 「仕方ない」「休みます」
- 政治・経済
- 2020年4月8日
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための緊急事態宣言が7日、首都圏など7都府県に出された。法的根拠を持つ1カ月間の外出の自粛要請は、街頭でどう受け止められたのか。商業施設や学習塾、バーなどでは、早くも休業の動きが広がった。
■「明日からは出歩かない」
午後7時、東京・新宿のアルタ前。帰宅途中の会社員らが足を止め、大型ビジョンに映し出された安倍晋三首相の記者会見を見守っていた。
「あくまで自粛要請だから、大きく生活は変わらないのでは」。不動産会社に勤める朝野美恵さん(25)は、会見が気になって足を運んだ。勤務先では在宅ワークが進むが、顧客を抱える営業職のため8日も出社するという。「誰かは会社にいないといけないから、仕方ないです」
IT関係の企業に勤める仲井良介さん(32)は在宅勤務中。怖いのは食料品などの買い占めだといい、「(休業要請で)外食もしにくくなるだろうし、家には米とカップ麺しかない。早めに買いにいかないと」と話し、立ち去った。
東京・渋谷のスクランブル交差点に面した大型ビジョンには同じころ、テロップで緊急事態宣言の発出を告げるニュースが流れた。
近くに住む派遣社員の女性(48)は「もっと早く出すべきだった」と話した。6日から在宅勤務が始まった。感染拡大を防ぐために外出自粛は必要な措置だと思うが、この日は、宣言後は来られなくなると思って足を向けた。「明日からは買い出し以外は出歩かないようにする」
■商業施設、休業相次ぐ
緊急事態宣言が出された首都圏の商業施設では、早くも休業の動きが広がっている。
営業時間を短縮しながらも店を開けてきた「伊勢丹新宿店」(東京都新宿区)は、宣言を踏まえて8日からの臨時休業を決定。7日夕には化粧品や贈りものを買う駆け込み客の姿がみられた。千葉県から来たという佐々木愛子さん(82)は、4歳になる孫の誕生日プレゼントのおもちゃを買った。誕生日は2カ月後だが、「臨時休業がいつまで続くかわからない」と慌ててきたという。
東京都江東区の商業施設「ららぽーと豊洲」も8日からスーパーや薬局をのぞいて休館する。店を訪れた近くの主婦(42)は、幼稚園生の息子と自宅で遊べるようにと折り紙を購入した。「海外みたいな爆発的な感染拡大を防ぐためには、休業となっても仕方ないと思う」と理解を示した。
大手学習塾「四谷大塚」も宣言に伴い、教室での対面授業は7日で中止する。都内の校舎に小学生の息子2人が通う母親(43)は「教室は広くないので感染拡大が心配だった」と話しつつ、今後はインターネットを使った自宅での映像授業となることに「子どもがきちんと理解してついていけるだろうか」と不安を口にした。
■バー勤務「日々稼がないと」
バーや居酒屋にとっても影響が大きそうだ。
狭い路地に飲み屋が軒を連ねる「新宿ゴールデン街」では7日午後の時点ですでに、「緊急事態宣言発令準備とのことで休みます」などと手書きされた貼り紙がちらほら。50代の女性店主も「感染拡大を封じ込めるためだから」と、7日からの休業を決めた。
ただし、休業の要請があったとしても、強制ではない。別のバーで働く20代の女性は「日々お金を稼がないと、生きていけない」と営業を続けるという。
一言コメント
こんなに人気のない東京も初めてだ。
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