新型コロナが福岡空港直撃 3月見通し、国際線旅客9割減 国内線も半分に 使用料割引も先行き不透明
- 企業・経済
- 2020年3月31日
昨年4月に民営化した福岡空港を運営する「福岡国際空港」(FIAC)は30日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月の国際線旅客数が前年同月比で9割減少する見通しを明らかにした。国内線旅客数は同5割減の見込みで、運休が相次ぐ中、旅客減に歯止めがかからない状況だ。FIACは、4月から航空会社が支払う空港使用料の割引制度を導入するなど終息後を見据えた対応に力を入れるが、先行きは不透明だ。(九州総局 小沢慶太)
「国内線を含めてここまで需要が落ち込むことは極めてまれだ。非常に厳しい状況に置かれている」
FIACの永竿(ながさお)哲哉社長は30日、令和2年度の事業計画を発表した記者会見で、率直に福岡空港の置かれた現状を説明した。
FIACによると、3月の国際線旅客数は、わずか6万8千人(前年同月64万6千人)となる見通しだ。2月も前年同月比44%減の31万5千人だった。
3月中旬以降、国際線では運休が相次いでいる。現在も運航を続けているのは台北線の2社だけで、航空機が1本も飛ばす、旅客がゼロだった日もあるという。旅客数の減少は国内線にも及んでおり、3月は82万7千人(同162万8千人)となる見込みだ。
FIACは昨年11月、民営化後初めてとなる令和2年3月連結決算について、日韓関係悪化の影響から最終赤字の見通しを当初計画の65億円から97億円に下方修正した。その後、韓国路線の旅客数は回復傾向にあったが、新型コロナの影響が追い打ちをかけた。永竿氏は「(97億円より)さらに数億円程度マイナスになる可能性はある」とした。
終息が見通せない中で、「コロナ後」の反転攻勢にかける動きもある。FIACは4月1日から、航空会社が支払う着陸料などの空港使用料について新規就航や運行の頻度に応じて割引する料金体系を導入する。国際線では東南アジアか5千キロ以上の新規就航路線について最長で3年間、空港使用料を免除。短距離の新規就航路線や新たにデイリー運航化した路線について1年目から3年目にかけて100~40%割引く。
この割引制度は、国内の他空港と比べても航空会社にとって「強いインセンティブがある」(重森洋介・エアライン営業部長)という。割引制度自体は、新型コロナの感染拡大以前から検討していたが、東南アジアを中心に需要回復後の路線誘致につなげる考えだ。
永竿氏は「終息したときのために空港というインフラをしっかりと守っていくことが大切だ」と話した。
一言コメント
見通しがつかないのも辛い。
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