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「生活できない」感染者の勤務先公表、繁華街に激震


 大分県内で3日に初確認された新型コロナウイルス感染者に関し、大分市と県は勤務先である同市都町の飲食店名を公表した。店や周辺に行った人などへ注意喚起を促すための店名公表だったが、これを受け、周辺の飲食店では予約のキャンセルが相次ぎ、自主休業に追い込まれる店も出ている。感染予防に必死な行政側の対応が風評被害につながるという“悲劇”が生まれている。

感染した30代女性が勤務する飲食店が入居するビルでは3日夜、営業を示すテナントの飲食店の看板がいくつも消えていた。

ビル内の他の店に対し市保健所は通常営業を認めているが、ある居酒屋は公表後に15人のキャンセルが出て、休業を決めた。60代の女性店主は「万が一感染が拡大して、お客さんに迷惑をかけてはいけないから」。近くの別の居酒屋でも男性店長(42)が「店を閉めるしかないが、1カ月同じ状態が続いたら生活できない。勤務先の名前を出すなら、近隣の店舗の対応についても具体的に指示してほしかった」と語った。

 都町のあるキャバレーには3日夜、「(感染が確認された女性は)この店で働いていなかったか」「都町は危ないから飲みに行けない」などの電話が10件以上あったという。この店は当面営業を続ける方針だが、出勤女性の数を10人から5人に半減。接客時にマスクを着けさせるわけにはいかず、従業員の待合室に除菌用のウエットティッシュを置いて対応するという。

勤務する女性(24)は「得意客に『うちの店は大丈夫』と連絡しても、返事は『しばらく行けない』ばかり。これから花見や歓送迎会で客が増えるはずだったのに」とうなだれる。

県は5日から、新型コロナウイルスの影響で売り上げが一定程度減少した中小企業や小規模事業者を対象に、通常より金利の低い資金融資制度を始める。ただラウンジやキャバレーは中小企業関連の法律ではなく風営法で営業が規定されており、この制度の対象外となる。

 市でもすでに、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた市内の中小企業向けの金融支援を開始。市の認定を受けて市の融資制度を利用した中小企業が金融機関の融資を受ける際、信用保証料を全額補助する。その他の対応について「今は感染経路の特定や拡大防止に全力を挙げており、国や県の方針が出たら従いたい」としている。

県健康づくり支援課の藤内修二課長は「風評被害の影響は懸念していたが、不特定多数の人と接触した可能性があり、感染経路を特定するためには店名公表が不可欠と判断した。痛みを伴うが、どうか理解してほしい」としている。

西日本新聞

 

 

一言コメント
公表しないのも風評リスクが伴うから難しい。


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