邦人退避、長期化も 140人なお残留 新型肺炎
- 政治・経済
- 2020年2月1日
新型コロナウイルスの感染が広がる中国湖北省から政府チャーター機で退避した在留邦人は、31日帰国の第3便で計565人に達した。
武漢市内の邦人の「大半」(菅義偉官房長官)が帰国した計算だ。ただ、主に市外者が対象の第4便は現地の交通事情から出発が週明け以降になる見通し。政府による退避支援は長期化する可能性もある。
「残りの希望者の帰国に向けた調整を進める」。安倍晋三首相は31日、国会内で開いた政府対策本部で、湖北省の在留邦人のうち希望者全員の帰国を目指す方針を改めて強調した。
邦人退避は既に想定から大きくずれ込んでいる。首相が26日にチャーター機派遣を発表した当初、政府は28日に2機、必要なら29日も飛ばし、退避を一気に終える計画だった。しかし、李克強首相の武漢市視察のあおりもあり、混乱する地元当局との調整が難航。第1陣の帰国に触発され、希望者が増えたことも誤算だった。
政府は複数機の同時派遣による退避加速を試みたが、許可されたのは1日1便。武漢空港へ飛べるのは中型機に限られ、29日に206人、30日に210人、31日に149人と、少しずつ進めざるを得なかった。それでも政府高官は「日本は早い方だ」と胸を張った。
菅長官によると、帰国希望者のうち湖北省内に残る邦人は約140人。政府が優先的に搭乗させた武漢市内の人は大半が帰国し、ほとんどは武漢市外にいる人だ。外務省幹部は「来週以降、第4便を出すことになる」と語る。
ただ、湖北省内の鉄道や道路が封鎖され、交通がまひする中、武漢空港まで「たどり着けない方もたくさんいる」(菅長官)。世界保健機関(WHO)は中国の封じ込め策を評価しており、中国当局が今後、邦人出国のハードルを上げる可能性があることも懸念材料だ。
約140人の中には、中国籍を持つ家族の日本への出国を中国当局が認めるのを待ちたいと話している人もいる。日本政府は家族の同行を認めるよう働き掛けているが、自国民の出国に厳しい中国側の姿勢は変わらず、政府内からは「早期実現は難しい」(高官)との声も漏れる。
一言コメント
粘り強く続けるしかなさそうだ。
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