パピオのアイスアリーナ存続危機 運営の西部ガス、維持費負担重く 福岡
- 政治・経済
- 2020年1月30日
■社長「行政と協議」
福岡市で唯一の常設スケートリンク「パピオアイスアリーナ」(福岡市博多区)に存続問題が浮上している。運営する西部ガスは年1億円程度の維持管理費に加え、数億円規模の冷凍設備の更新を「単独での負担は厳しい」としており、令和3年3月末で閉鎖する可能性を県スケート連盟などに申し入れた。同社の道永幸典社長は29日の定例記者会見で「福岡県や市などとも相談したい」と述べ、閉鎖回避に向け行政と協議する考えを示したが、九州一円の競技者が集まる施設だけに関係者から行く末を懸念する声が上がる。(中村雅和)
アイスアリーナは平成3年に開業した複合施設「パピオ」内で営業している。リンクは国際大会も開催可能な規格で、福岡県スケート連盟によると、フィギュアスケート選手240人や、ショートトラック選手、アイスホッケーチームなどが練習拠点にしている。また、過去にはフィギュアスケート女子のバンクーバー五輪銀メダリスト、浅田真央さんがスケート教室を開いたこともある。
西部ガスによると、年間の維持管理費は1億円程度で、開業からの29年間で累積赤字は約20億円に達した。さらに、冷凍設備で冷媒として用いるフロンガスが、環境規制強化で生産されなくなり、今後、設備の入れ替えなど改修が必要になっていた。ただ、費用は4億~5億円が必要との試算があり、「単独での負担は厳しい」(同社幹部)という。
福岡県内では、年間を通じて利用可能なリンクは、同アリーナに加え、同県飯塚市と久留米市の計3カ所ある。また、福岡市内には冬季のみ営業するアクシオン福岡(同市博多区)もある。ただ、関係者からは「アイスアリーナは博多駅からも近くて交通の利便性が良い。九州一円から選手が集まりやすく、通年営業の『拠点』が無くなれば、影響は大きい」との声があがる。
西部ガスの道永社長は記者会見で「福岡市から(常設)スケート場が無くなる事態は避けたい。公益事業なのでできればやりたいし、存続するのがベストだ。今後、福岡市や県などとも相談していきたい」と述べた。
一言コメント
ほかにスポンサーとかいないものかね。
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