10年間で10億通が消えた年賀状、データで見る郵便業の現実
- 企業・経済
- 2020年1月12日
元旦に年賀状が届いたという方もいるかと思う。日本郵便の発表によると、今年の元旦に配達された年賀郵便物数(速報値)は約13億通で、一人当たりにすると約10通という。
2018年度の国内への郵便物は約167億通、そのうち元旦に配達された年賀郵便物は約14億通(日本郵便より)だったので、年間に国内に配達される郵便物のうち約8%が元旦に届いていたことになる。
しかし、人口の減少や、若い人を中心にメールやSNSで新年のあいさつをするという人も増えており、年賀状の配達数は年々低下している。2008年度は約29億通だったが、2018年度は約19億通と、10年で34%低下している。
インターネットの普及により、年賀状を含めた郵便物数は年々減少しているが、他方で、増えているのが宅配貨物である。第3次産業活動指数(経済産業省)の道路貨物運送業指数の推移をみてみると、宅配貨物運送業と一般貨物運送業がともに伸びているが、特に宅配貨物運送業が伸びていることがわかる。2018年度指数は131.8(2010年=100)と10年前から約3割も伸びている。
国土交通月例経済によると、2018年度のトラック貨物輸送による宅配貨物取扱個数は、約42億個だった。一人当たりに換算すると、2008年度は年間25個の荷物を受け取っていたのが、2018年度には年間33個に10年間で増えたことになる。
郵便業についても、第3次産業活動指数の郵便業指数全体では伸びていないものの、指数の元データとなっている引受郵便物等物数の内訳をみると、郵便物は減少している一方、ゆうパックやゆうメールといった荷物は増加している。
こうした宅配貨物の増加の背景を探るために、近年のインターネット通信販売(物販)、フリマアプリ、ネットオークションの市場規模をみてみる。
インターネット通販市場の拡大が続いているが、フリマアプリも、はじめて登場した2012 年から僅か6年でネットオークション市場に近づく勢いで拡大している。
近年、フリマアプリなどでは匿名配送も登場し、個人情報を気にすることなく、手軽に安心して見知らぬ個人間で配送ができるようになった。
他方で、宅配貨物が増えるなか、荷物を配送するドライバーの負担も増してきた。再配達防止のため、アプリなどで配達前に日時や受け取り場所を変更できるサービスや、配達時間帯指定の見直し、コンビニ受け取りやロッカー受け取り、宅配便を受取人が指定した場所に置く「置き配」も導入されている。
また、郵便業でも荷物等への人員再配置を可能とする狙いもあり、普通扱い郵便物の土曜配達の休止や翌日配達の廃止が昨年検討された。
宅配のおかげで、私たちの生活はより便利になっているものの、利用者側も、配達日時を意識し、一度で受け取れるようにすることが求められている。
一言コメント
これも時代の流れか…
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