「桜を見る会」名簿、廃棄記録なし 菅長官、違法認める
- 政治・経済
- 2020年1月11日
菅義偉官房長官は10日の閣議後会見で、「桜を見る会」の2013~17年度の5年分の招待者名簿の取り扱いで、公文書管理法違反があったことを認めた。同法8条が定める廃棄前に必要な首相の同意手続きを取っていなかったことも明らかにした。
法令順守と、行政事務の重要な意思決定を文書に基づいて行う「文書主義」は、公務員が守るべき大原則。その基本すら守られていない現状が明らかになった。ルールに基づき対応してきたというこれまでの政府の説明は根底から覆ったことになる。
菅氏は9日の会見で、保存期間など名簿の取り扱いを記す行政文書の管理簿への未記載を認めたが、法令違反にあたるかどうかは言及を避けていた。10日の会見では「公文書管理法の関連規定、内閣府の文書管理規則に違反する対応だったと考えている」と明言。(1)管理簿への未記載(2)名簿を廃棄した日などを書き入れる廃棄簿への未記載(3)廃棄前に必要な首相の同意手続きがなかったこと、の3点を認めた。
ただ、理由については「事務的な記載漏れだった」と説明。「担当者に確認しているところだが、こうした問題への対応意識が少なかったのではないか」とも話した。内閣府や、桜を見る会の担当閣僚としての菅氏自身の責任についても記者から問われたが、「こうしたことを二度と再び犯すことがないよう内部で注意をしっかり行っているところだと思う」と述べるにとどめた。
首相が主催する内閣の公的行事「桜を見る会」をめぐっては昨年秋以降、安倍晋三首相の地元有権者が多く参加していたことが明らかになり、「私物化」との批判が続いている。しかし、真相解明の鍵となる招待者名簿について、政府は「第2次安倍政権以降の招待者名簿はすべて廃棄済み」と説明し、再調査しようとはしていない。朝日新聞社の昨年12月の世論調査では、桜を見る会の一連の問題についての安倍首相の説明は、74%が「十分ではない」と答えている。
公文書管理法が「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置づける公文書だが、安倍政権ではこれまでもずさんな扱いぶりが問題となってきた。
森友学園への国有地売却問題では財務省が公文書を改ざん、廃棄した。国会答弁で存在しないとしてきたイラク派遣の際の陸上自衛隊の日報も後に見つかった。首相官邸で首相が省庁幹部と面談した際の記録を官邸側が作っていないことも明らかになっている。
一言コメント
違法のオンパレードだ。
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