景気先行き「横ばい」62% 主要122社調査 「五輪後息切れ」懸念も
- 政治・経済
- 2020年1月5日
毎日新聞は3日、全国の主要122社に尋ねたアンケートの結果をまとめた。景気の先行きを「横ばい」と答えた企業が62%(76社)で最も多く、「良くなる」は26%(32社)にとどまった。「悪くなる」も9%(11社)あった。政府の景気判断は「緩やかに回復」を維持しているが、長期化する米中貿易戦争や中国の景気後退懸念などを背景に慎重な見方が広がっている。東京五輪・パラリンピック後の景気の息切れに対する懸念もあった。
アンケートは2019年11月中旬~12月中旬に書面で回答を得た。景気の先行きでは19年10月の消費税増税の影響について懸念もあり、「キャッシュレス決済のポイント還元制度が20年6月に終了し、消費動向に影響が出るのでは」(外食)といった声があった。
20年夏の東京五輪・パラリンピックが景気に与える影響も注目される。1964年の東京五輪では、開催に合わせて東海道新幹線など巨額インフラ投資が実施され、五輪後は不況に陥った。90年代以降に夏季五輪を開催した7カ国の景気動向を振り返ると、スペイン(92年バルセロナ大会)、ギリシャ(04年アテネ大会)など4カ国で開催翌年の国内総生産(GDP)成長率が低下している。
アンケートで20年東京五輪後の日本経済が失速するかどうかを尋ねると、「悪くなる」は21%(26社)あり、「良くなる」の7%(8社)を上回った。ただ「五輪の影響はない」も21%(26社)あり、最も多かったのは「分からない」の45%(55社)だった。
政府は19年12月に策定した経済対策で「五輪後の経済活力の維持・向上」に4・3兆円を計上。「五輪後不況」を財政出動によって防ぎたい考えだが、「五輪後は関連需要の落ち込みに景気対策の息切れが加わり、景気が停滞するのではないかと懸念する」(伊藤忠商事)と不安視する声も聞かれた。
一方で五輪への期待も高く、「20年は日本中が全世界から注目される」(三菱地所の吉田淳一社長)、「国内産業やテクノロジーの力を広く海外に訴求する機会だ」(リコーの山下良則社長)といった意見が相次いだ。
景気の現状については、「踊り場にある」と答えた企業が57%(69社)と最多。「緩やかに回復」は27%(33社)で、19年1月にまとめた前回アンケートの72%から大幅に減少した。一方、前回0%だった「緩やかに後退」は16%(19社)に増加。「踊り場にある」も前回(28%)から倍増した。
一言コメント
今年は後半が勝負のようだ。
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