【独自】中小企業「卒業」後も特別融資…「支援打ち切り」懸念に対応
- 企業・経済
- 2019年12月31日
政府は、中小企業が大企業に成長した後も、それまでの中小向け支援措置を最大5年間受けられるようにする方針を固めた。中小企業が支援措置を打ち切られることを嫌って事業拡大をためらうことを防ぎ、地域経済を牽引(けんいん)する企業を育てる狙いがある。
政府は、中小企業の包括的な支援策をまとめた「中小企業成長促進法案」を、来年1月に召集予定の通常国会に提出する方針だ。
中小企業基本法では、製造業の場合は資本金3億円以下または従業員300人以下などと、中小企業の要件を定めている。こうした定義より規模が大きくなると、低金利融資などの支援を受けられなくなる。
具体的には、日本政策金融公庫による特別な融資だ。設備投資の場合は20年以内、運転資金は7年以内という長期間、固定金利での融資を受けられる。全国に51ある公的機関「信用保証協会」が、金融機関が求める経営者への個人保証を、事業承継の際に肩代わりする制度も来年4月に始まる。法案ではこうした支援措置を、中小企業を「卒業」した後も最大5年間受けられるようにする。
新たな中小支援策も盛り込む。事業承継の際に、信用保証協会が債務保証する上限額を5億6000万円に倍増させる。日本政策金融公庫を通じて、海外展開を支援する新しい融資制度も設ける。海外子会社に直接融資するもので、国内の親会社を経由しないため、親会社の負担軽減や迅速な資金調達につながることが期待される。
政府が中小企業の支援に力を入れるのは、国内の雇用の約7割を支える重要な存在だからだ。日本経済を下支えするため、経営者の高齢化や後継者不足への対応を加速させている。
一方で、順調な成長が見込めるにもかかわらず、自ら中小企業にとどまる会社も多いとの調査もある。政府は支援措置の打ち切りに対する経営者の不安が、事業拡大を妨げているとみている。
一言コメント
人手の確保も難しいからね。
コメントする