イチロー氏 安倍首相と公邸で面会した際に出した“異例のお願い”
- スポーツ
- 2019年12月1日
現役を引退した元大リーガーのイチロー氏が政界をザワつかせた。
安倍晋三首相と10月26日夜、約2時間にわたって首相公邸で会食。オリックスの井上亮社長や、三井住友銀行の高島誠頭取も同席していたという。
イチロー氏は過去3回、政府から国民栄誉賞を打診されたが、いずれの際にも固辞している。
一般紙や通信社、テレビ各局の首相番記者たちは「なぜイチロー氏が来たのか」と突然の訪問に驚き「政府がまた何かを打診したのか?」などと政府筋への取材を開始したという。テレビ局はニュースとして公邸を出る姿を放送。“イチローが来た~”の騒動となった。
それだけでも十分なザワザワぶりだったが、その後、ベテラン政治記者も「聞いたことがない」というお願いが首相秘書官から告げられた。
首相番記者には「首相が誰とどこで会ったか」の発表が随時行われるのだが、イチロー氏の説明の際は「ご本人の強い希望で表記は本名の鈴木一朗にしてほしい」が付け加えられた。それを受け、各社は「首相動静」などに「元大リーガーのイチロー(本名鈴木一朗)氏」や「元プロ野球選手の鈴木一朗(イチロー)氏」との表現をした。
ベテラン政治記者は「訪れた客が“首相と面会したこと自体を公表しないでほしい”と政府にお願いしたケースはたくさんあったはずだが、表記については異例だ」と語る。イチロー氏の国民栄誉賞の3度目の辞退は、今年3月に現役引退を発表した後のこと。「人生の幕を下ろしたときに頂けるよう励みます」と返答したと伝えられている。永田町では「7月に行われた参院選を前に政治利用されるのを嫌ったのだろう」との見方が広まっていた。
そのため今回の“本名希望”には「“イチロー”という野球界のスーパースターとしてではなく、オリックスの社長とともに訪れた私人という形を強調したかったのでは。これからも“イチロー”は政界とは一線を画すということだろう」という憶測が流れた。だが一方で、野球関係者は「ただ単にイチローはプレーヤーの時の名称だから引退した今は“鈴木一朗です”としただけで、そんなに深い意味はないのでは」と話す。
どんな理由があって会食することになったのか。“鈴木一朗”の表記にはどんな意味を込めたのか。謎はまだ残ったまま。
政界という異なるフィールドで、一挙手一投足が注目され、発生した騒動。「もっと知りたい」という思いを起こさせるのはスターの証。引退してもなお存在感の大きさを感じさせる一夜の出来事だった。(記者コラム)
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今度は何を見せてくれるのかな?
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