日本政府、中国・習主席来日への影響懸念 香港情勢、国際世論を意識
- 国際
- 2019年11月27日
香港の区議会(地方議会)選挙で民主派が圧勝したことを受け、来春に予定している習近平中国国家主席の国賓来日への影響を懸念する声が日本政府内に出ている。
民主化を求めるデモが勢いを増すのは必至で、中国政府が強硬な措置を取れば国際社会の批判が日本にも向きかねないためだ。
菅義偉官房長官は26日の記者会見で「昨今の香港情勢を大変憂慮している。来春の習主席訪日を見据え、引き続き主張すべき点はしっかり主張していきたい」と表明。安倍晋三首相も25日、中国の王毅国務委員兼外相との会談で「引き続き一国二制度の下、自由で開かれた香港が繁栄していくことが重要だ」とくぎを刺した。
会談前日に投票が行われた香港区議選では、デモへの住民の支持を背景に民主派が8割超の議席を獲得。デモ隊は民主化の要求を強める構えだが、中国指導部が受け入れる兆しはない。
日本政府は「中国への内政干渉に当たる」(関係者)としてこの問題で深入りは避けたいのが本音だ。しかし、こうした姿勢には与野党を問わず日本国内で疑問の声が上がる。
自民党の山田宏前防衛政務官は26日の参院外交防衛委員会で「香港も含め中国の人権状況に国際世論の強い懸念がある中、なぜ習主席を国賓として招待するのか」と述べ、天皇陛下との会見が含まれる訪日計画の再考を要求。共産党幹部も「国賓で来るから黙っておこう、という姿勢は間違っている」と批判した。
民主化運動を武力弾圧した1989年の天安門事件を受けて西側諸国が経済制裁を科す中、日本政府は92年に天皇陛下(現上皇さま)の訪中を実現。孤立状態から脱したい中国側に利用された、との批判を現在も受ける。
政府は欧米をはじめとする国際世論の動向を意識しつつ、当面は中国との関係改善を進める方針を変えていない。ただ、外務省幹部は26日、香港の一層の混乱に懸念を示し、「習氏が来られなくなる可能性もゼロではない」と語った。
一言コメント
しばらくは難しい舵取りになりそうだ。
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