日韓「10分対話」も改善見通せず=徴用工ネック、互いに出方注視
- 国際
- 2019年11月5日
【バンコク時事】安倍晋三首相と韓国の文在寅大統領が4日、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議の会場で10分程度の対話を行った。
極度に関係悪化した日韓の現状を打開する必要性を意識した双方が一歩踏み出した格好。だが、国交正常化後の両国関係の基礎に直結する韓国人元徴用工問題で対立は解けず、互いに相手の出方を注視している段階だ。
今回の接触があったのはASEANと日中韓3カ国による首脳会議の直前。日本側によると、控室に入った安倍氏が各国首脳と握手を交わす中で文氏とも握手し、「自然な流れ」で近くのソファに移動。通訳を除けば一対一でやりとりをした。
日韓首脳が着席形式で協議したのは、昨年10月に韓国最高裁が日本企業に元徴用工への賠償を命じて以来初めて。韓国側は、文氏から呼び掛けたと説明している。
韓国最高裁判決に対し、日本側は双方の請求権問題の「完全かつ最終的な解決」を宣言した1965年の日韓請求権協定を基に「国際法違反」と主張。韓国側で解決するよう求めており、安倍氏は4日も、この立場が不変であることを強調した。
一方で安倍氏は日韓関係の重要性を指摘し、外交当局間で話し合いを継続することを文氏と確認。冒頭には、安倍氏が文氏の母親の死去に弔意を伝達、文氏が謝意を示し、天皇陛下の即位への祝意も伝える場面があった。
韓国人訪日客の大幅減など関係悪化の影響は多方面に及び、日本政府も無視できない状況だ。日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は現状では今月22日限りで失効する。安倍氏は一連のASEAN会合で北朝鮮問題に関して国連安全保障理事会決議の「完全履行」を訴えたが、日本自身が国際的な連携に不安も抱える。
文氏は前法相の辞任で支持率が低下。北朝鮮政策に行き詰まりが見られ、対日政策にも国内で批判がある。
ただ、徴用工問題に関し、4日の対話で文氏から具体的な解決策は示されなかった。従来の強硬姿勢を変えるハードルは高いとみられる。韓国内では、原告側が差し押さえた日本企業資産を現金化する可能性もある。
日韓首脳が顔を合わせる次の機会は中国・成都で12月下旬に開かれる日中韓サミット。「ボールは韓国側にある」。日本政府高官はこう語り、あくまで韓国政府の動きを待つ姿勢を崩さない。
一言コメント
そう簡単には改善しないだろう。
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