日本の核廃絶決議案を採択=軍縮に焦点、賛成減-国連
- 国際
- 2019年11月3日
【ニューヨーク時事】国連総会第1委員会(軍縮)は1日、決裂の懸念が出ている来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け、共通基盤の形成を目指して、日本が提出した新たな核兵器廃絶決議案を賛成148、反対4、棄権26の賛成多数で採択した。
決議案は従来と比べ内容が大きく変わり単純比較できないが、昨年に比べて賛成は12カ国減り、棄権は2カ国増加した。
同委で日本の核廃絶決議案採択は26年連続。ただ、今年は核の不拡散や平和利用の部分を縮小して対立の大きい核軍縮に焦点を絞った。従来の決議案は核兵器使用に伴う破滅的な人道的結末に対する「重大な懸念」を示していたが、今年は「認識する」に弱まった。北朝鮮の核・ミサイル活動への非難の文言や、核兵器禁止条約への言及もない。決議案は12月上旬の総会本会議で正式に採択される。
核保有国では、英国が共同提案国に加わった。フランスも賛成。米国は昨年同様棄権した。反対国は昨年と同じ中国、北朝鮮、ロシア、シリア。
核禁止条約の主要推進国は、日本の狙いや努力を評価しつつ、2017、18年に続き今年も棄権した。推進国は特にNPT関連の合意文書と異なる決議案の表現について「弱まった」(推進国の外交筋)と反発。また、NPTの義務の「着実な」履行を促す決議案の文言を、新たな「条件付け」(同)に当たると批判していた。
高見沢将林軍縮大使は採択後の記者会見で「各国が一致して取り組むことのできる共通基盤の形成を追求していくというアプローチは、それなりに理解が得られたのではないか」と語った。一方、「ギャップの埋まらない部分が確かに残った」と認めた。
今年の決議案は題名を「核兵器のない世界に向けた共同行動の指針と未来志向の対話」に変更。来年の会議に向けて取るべき共同行動として、透明性向上や核リスク低減、被爆者との交流を含む軍縮・不拡散教育など6項目を提示した。
一方、オーストリアが提出した核禁止条約への加盟を求める決議案は賛成119、反対41、棄権15で採択された。日本は反対した。
一言コメント
反対国の顔ぶれは予想通りだ。
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