「無知では済まされぬ」公選法違反疑惑で閣僚相次ぎ辞任 専門家、形骸化指摘
- 政治・経済
- 2019年11月1日
就任から1カ月余りで河井克行法相が31日、辞任した。今夏の参院選で初当選した妻の案里氏=広島選挙区=陣営の公選法違反疑惑に加え、自身にも贈答品を配っていた疑いが浮上したためだ。菅原一秀前経済産業相に続き「政治とカネ」の問題で閣僚が相次いで辞任する異例の事態。専門家は「政治家も陣営も、公選法に対する意識が緩くなっている。無知では済まされない」と指摘する。
選挙運動は原則としてボランティアだが、公選法では、うぐいす嬢と呼ばれる車上運動員や事務員、手話通訳者のほか、単純労務者への報酬支払いが認められている。しかし、施行令で日当の上限を1万5千円と規定。違反した場合は3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。
週刊文春は、案里氏陣営が、うぐいす嬢を務めた運動員13人に対し、日当として上限を超す3万円を支払ったとする関係者の証言を紹介。領収書は日付を選挙前と選挙期間中の2枚に分割し、それぞれ1日当たり1万5千円にしたという。
政治資金の問題に詳しい日本大の岩井奉信(ともあき)教授(政治学)は「領収書を取っているのであれば、証拠も恐らくあることになる」と指摘する。平成25年7月の参院選では、広野允士(ただし)元参院議員陣営がうぐいす嬢に法定上限額の2倍の選挙運動報酬を払ったとして元秘書が公選法違反(買収)罪に問われ、有罪判決が確定。連座制が適用され、広野氏は参院選比例区への立候補を5年間禁止された。
ただ岩井教授は「捜査当局や司法の裁量になるが、過去の例からみれば、今回は事件化される可能性は低いのではないか」とみる。
菅原氏も公設秘書が選挙区内で香典や枕花を出したとする週刊文春報道を受けて経産相を辞任したばかりだが、平成11年には小野寺五典元防衛相が選挙区内で氏名入りの線香を配ったとして書類送検され、罰金40万円と公民権停止3年の略式命令を受けた例もある。
公選法は、選挙運動の不平等や不正を防ぐためにある。岩井教授は「近年は公選法が形骸化している面がある。実効性を持たせるためにも、これを契機に政治家は襟を正す必要がある」と話す。
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これらも氷山の一角!?
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