海洋ごみ処理対策追いつかず 福岡で国際会議、日本の技術に期待
- 国際
- 2019年10月30日
居住環境の改善に取り組む国連機関「国連ハビタット」福岡本部は29日、プラスチックごみなど海洋廃棄物をテーマとした国際会議を、同本部のある福岡市内で開いた。南太平洋のソロモン諸島やベトナムの政府関係者が、ごみ処理の対策や法整備が追いつかない現状を報告し、日本への技術支援に期待した。(九州総局 高瀬真由子)
この日の「環境技術専門家国際会議」には、日本を含め11カ国から、研究者や行政関係者ら約50人が参加した。
ソロモン諸島の土地・住宅・調査省のバダリー・ロニー技術事務次官は、多くのごみが河川に投棄され、海に流れ込んでいると説明した。「プラごみを建設資材で再利用するなど、革新技術でリサイクルの方法を考えたい。その点で日本の技術は重要だ」と語った。
ベトナム海洋諸島局のヌエン・チ・コン局長補佐官は、都市部でごみ全体の約15%、地方では45~60%が回収されていない現状を伝えた。同国から流出する海洋プラごみの量は、世界で4番目に多いという。
「プラごみを規制する法律がなく、健康に及ぼす影響の情報もない中で、啓発が進まない」と訴えた。
このほか、国連ハビタットのフィリピンやミャンマーの事務所長らが、法整備をしても、ごみが不法に野積みされていることや、処理技術がないなどの課題を報告した。
日本からは福岡県の大木町、宗像市の職員が、プラスチックを油化するリサイクル事業や、ロボットを使った清掃活動を伝えた。海底ごみを回収する漁協の努力も紹介された。国連ハビタット福岡本部では、日本の持つ技術やノウハウの、アジアへの普及を目指す。
環境省の資料によると、国別のプラごみ流出量(2010年推計)は、最多が中国で、次いでインドネシア、フィリピンと、アジア各国が上位を占める。日本は30位だった。
今年6月に日本で開催された20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)では、2050年までに海洋プラごみによる追加汚染をゼロにする「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が合意され、G20以外にも取り組みを拡大させるとした。
一言コメント
小泉環境大臣にも来てほしかった。
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