羽生初!スケートカナダで「勝ったー!」さあ行くぞ「壁」の向こうへ
- スポーツ
- 2019年10月28日
◆フィギュアスケート GPシリーズ第2戦スケートカナダ 最終日(26日、カナダ・ケロウナ)
【ケロウナ(カナダ)26日=ペン・高木恵、カメラ・矢口亨】男子フリーはショートプログラム(SP)1位の羽生結弦(24)=ANA=が自己ベストの合計322・59点で大会初優勝し、ファイナルを含むGP通算11勝目を挙げた。ネーサン・チェン(20)=米国=の世界最高323・42点に肉薄。2位に59・82点の大差をつけて大会初優勝を飾り、3年ぶり5度目のGPファイナル(12月5~8日、イタリア・トリノ)制覇へ弾みをつけた。
氷上に膝をついたフィニッシュポーズからゆっくり立ち上がると、羽生は雄たけびを上げた。「勝ったー!」。自己ベストを20点以上も更新する322・59点をたたき出した。「久しぶりに心の中から『自分に勝てたな』というふうに思える演技だった」。過去3度の出場はいずれも2位だった大会で、己に打ち勝った。
公式練習から苦戦していた4回転ループはオーバーターンになりながら大きな減点なく耐え抜くと、その後はミスなく演じきった。国際スケート連盟(ISU)公認大会初成功となる4回転トウループ―1オイラー(つなぎのジャンプ)―3回転フリップの3連続技で20・90点を荒稼ぎした。3本目のジャンプをサルコーから、基礎点が1点高い5・30点のフリップに変えた。「実用的で活用できる。戦いに必要なものとして使いたいなと思って」。オータム・クラシック後に口にした「1点でももぎ取ろうと思っている」の言葉通り、勝ちにこだわる姿勢を見せた。
新たな敵とも闘っていた。「今、壁が見えている。その壁を乗り越えきれたら、もっといい景色が見えるんじゃないかなと思って、もがこうと思う」。シニア10年目の24歳。経験を積み、ピークを合わせる方法も変わってきた。「自分も大人になったんだなという感じ。感情だけで動いてこられた昔とは違って、ある程度抑えてキープして、いい感じにピークを持っていかないとダメだなという壁がある」。五輪王者は新たな境地に進みつつある。
「負けたまま終わりたくなかった」と2季連続で演じることを決めた「Origin」。憧れのエフゲニー・プルシェンコ(ロシア)の伝説の演目「ニジンスキーに捧ぐ」をアレンジしたものだ。完成度は「まだ30%とか20%。最終的にはこのプログラムに4回転アクセルを入れたい」と言い切った。
今季初戦のオータム・クラシックと同じ4回転ジャンプ3種類4本の構成で臨んだ大会で、3月の世界選手権で屈したチェンの世界最高へ0・83差に肉薄。基礎点が12・5点の4回転アクセルを入れれば、さらなる高得点が望める。次戦はNHK杯(11月22~23日、札幌)。「壁がどれくらいの高さなのか分からないけど、今回のショートとフリーの演技で、ちょっとずつ頂上が見えてきているのかなとは思っている」。15年に当時の世界最高得点をマークした大会から、3年ぶり5度目のGPファイナル制覇へ一気に突き進む。
一言コメント
さすが五輪チャンピオンだ。
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