問われる安倍首相の任命責任=経産相辞任、菅官房長官の求心力に影響も
- 政治・経済
- 2019年10月26日
地元での金品贈与疑惑が次々と浮上した菅原一秀経済産業相が辞任に追い込まれた。
就任からわずか1カ月半の失態。政権へのダメージは必至で、安倍晋三首相の任命責任が厳しく問われそうだ。菅原氏の入閣は菅義偉官房長官の推薦だったとされ、自民党内では菅氏の求心力に影響が及ぶとの見方も広がっている。
◇お祝いムードに水
菅原氏は25日朝の定例閣議後、首相執務室に入り、菅氏同席の下で辞表を提出。首相はこの後、記者団に「任命責任は私にあり、国民の皆さまに深くおわびを申し上げる」と述べた。天皇陛下が即位を宣明されてから3日しかたっておらず、お祝いムードに水を差した形だ。
菅原氏をめぐる疑惑を最初に報じたのは、10日発売の一部週刊誌。菅原氏が自身の選挙区でメロンやカニを配っていたと指摘。野党は公職選挙法が禁じる寄付行為に当たる可能性があるとして国会で追及した。この時点で政府高官は「記事の内容は10年以上も前の話だ」として、「時効」を盾に擁護する姿勢を示していた。
潮目が変わったのは23日だ。一部週刊誌(電子版)が続報で、菅原氏の公設秘書が今月17日に地元選挙区での通夜で2万円の香典を渡したとの記事を掲載したのだ。
事実なら「時効」で逃げ切るのは難しく、菅氏が24日に菅原氏から事情を聴取。与党内では既に「守り切れない」との声が広がっており、政権は「更迭」を決断せざるを得なかった。
この後、菅原氏の辞任と後任の選定は一気に進められた。後任の梶山弘志氏が首相と面会したのは菅原氏の辞表提出の9分後だったことから、人選は水面下で綿密に進められたことがうかがえる。菅原氏は25日朝まで同日の衆院経産委員会に出席する意向だったが、首相官邸から引導を渡され、国会で説明をすることはなかった。
◇身体検査すり抜け
菅原氏は菅氏を囲む勉強会「令和の会」を発足させるなど、菅氏と関係が近いことで知られていた。一方、菅原氏の言動には以前から問題を指摘する声が出ていた。結果的に、スキャンダルの有無などを事前に調べる「身体検査」のずさんさが浮き彫りとなったとも言える。
菅氏は25日の記者会見で「任命前にチェックできていたのか」と問われたが「詳細について発言することは控える」と述べるにとどまった。
菅氏へのダメージは避けられない情勢だ。自民党関係者は「梶山氏も菅銘柄。首相も菅氏に配慮したのではないか」と見る。だが、首相周辺は「今回の辞任は菅氏の責任。身内への甘さが出た」と憤る。菅氏が入閣を後押しした小泉進次郎環境相も「セクシー」発言などで批判を浴びており、政権内で菅氏への不満は尾を引く可能性がある。
天皇陛下の即位の礼が続くさなかの閣僚交代。梶山氏の皇居での認証式は祝宴「饗宴(きょうえん)の儀」がお開きになってほどなくという異例のタイミングとなった。通常使用される「松の間」には玉座「高御座(たかみくら)」などが据えられているため、会場は「竹の間」に変更された。国民民主党幹部は「慶事に影響を与えた。菅原氏は議員辞職ものだ」と厳しく批判した。
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関電どころではなくなった!?
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