香港市民の怒り爆発 デモ衝突、多数を拘束 覆面禁止法に反発
- 国際
- 2019年10月7日
香港で6日、再び大規模デモがあり、大雨のなか、数万人が参加した。政府が「緊急状況規則条例」(緊急法)を発動してデモ隊が顔を隠すことを禁じる覆面禁止法を5日に施行したことに対し、市民の怒りが爆発した。平和的なデモだったが、警察は終着点の手前で催涙弾を相次いで発射し、大勢の市民が逃げ惑った。その後、各地で若者らと警官隊が衝突し、多数が拘束された。一方、民主派議員団は5日、両法の取り消しを求める司法審査を高等法院(高裁)に申し立てた。
デモでは顔を隠した市民も多く、家族連れやお年寄りなど幅広い層の市民が行進した。マスクをして子供2人と参加した曽淑恵さん(39)は「覆面禁止法が市民の怒りを招いて逆効果だと理解できない林鄭月娥行政長官は、市民の気持ちがまるで分かっておらず、辞任すべきだ」と語気を強めた。中心部以外でも各地で抗議活動が展開された。
司法審査で民主派議員団は、香港基本法(憲法に相当)が条例制定権について行政長官ではなく立法会にあると規定しているため、立法会の議決が必要ないと定めた緊急法そのものが違法だと訴えている。緊急法は英国植民地時代に成立しており、以前から専門家の間で「悪法で違憲」と指摘されてきた。
ただ、基本法の解釈権は中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会が握る。中国側が介入し、緊急法は基本法に違反しないと解釈する可能性もある。中国政府は、緊急法の発動による覆面禁止法の施行について、秩序の回復や暴力行為の抑止の観点から「極めて必要とされている」と正当化している。
民主派議員団は5日に覆面禁止法の一時差し止めも申し立てたが、高等法院は6日、棄却した。
4日午後に郊外の元朗地区で非番の私服警官に足を撃たれた少年(14)は重傷で入院しているが、警察は5日深夜、暴動容疑などで逮捕手続きをとった。
5日に空港線を除き終日運休となった地下鉄は6日朝から全体の約半数に当たる45駅で復旧したが、夕方以降、デモの影響で相次いで閉鎖した。残りは破壊された施設の修復などが済んでおらず終日、閉鎖した。デモ隊が中国政府寄りと指摘する銀行の現金自動受払機(ATM)なども各地で破壊され、銀行サービスにも支障が出ている。
一言コメント
もう歩み寄る余地はなくなったようだ。
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