習外交、攻めから守りへ 建国70年、対米摩擦で一路一帯に逆風
- 国際
- 2019年10月1日
【北京=西見由章】建国70年を1日に迎える中国の習近平国家主席はいま、貿易戦争の泥沼化に象徴される米国との「新冷戦」や、巨大経済圏構想「一帯一路」の停滞など厳しい外交環境に直面している。2012年の習指導部発足後、1期目の5年間は経済力を背景にした「攻め」の対外姿勢が目立ったが、2期目は「守り」を強いられる局面が増えている。
米国は計2500億ドル(約27兆円)分の中国産品に対する25%の追加関税に加えて9月1日には1120億ドル分に15%の追加関税を課し、さらに1600億ドル分を12月に発動する構えだ。対米輸出品すべてに追加関税がかけられれば、景気や雇用へのダメージは避けられない。北京の経済専門家は「中国経済はハードランディングの段階に入った」と危機感を隠さない。
国民の不満も高まっている。豚コレラの流行がきっかけとなり安価な食材の豚肉価格が上昇、貿易摩擦の激化が物価全体を押し上げている。人民元相場は8月以降、対ドルで7元台の元安水準が続く。輸出を後押しするため当局が一定の元安を容認しているとの見方が広がるが、「人民元資産の目減りはすべての人に影響が出る。国の問題を国民の負担に転嫁しているとの認識が広がっている」と先の経済専門家は指摘する。
米側が要求する国有企業に対する補助金廃止などの経済改革は政治体制改革にもつながり「(のらりくらりと批判をかわす)太極拳を続けるしかない」(北京の大学教授)のが現状だ。
アジアの外交官は「貿易の問題がいずれ解決しても、米中の全面対立という状況は、中国の体制が変わらない限りずっと続くだろう」と分析する。
習氏が13年に提唱した一帯一路も、発展途上国が多額の負債を抱えて中国の政治的要求に応じざるを得なくなる「債務のわな」問題が表面化。「一帯一路は透明性に欠ける」(世界銀行)などと国際社会から厳しい目が注がれている。
来年1月の台湾の総統選を控え、中国当局は「一つの中国」原則を認めない民主進歩党政権の下野を狙っていた。香港での抗議活動の拡大が、再選を狙う蔡英文総統への追い風となったのは大きな誤算だ。
一言コメント
将来が明るいとはいえないね。
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