九州に電子戦部隊=南西諸島に地対艦ミサイル-離島防衛、西方シフト着々・陸自
- 政治・経済
- 2019年9月16日
離島防衛で陸上自衛隊の西方シフトが着々と進んでいる。
防衛省は2020年度末までに、電磁波を使って相手の通信などを妨害する電子戦部隊を、九州・沖縄を担当する西部方面隊の健軍駐屯地(熊本市)に新編する方針を決定。同駐屯地には今春、サイバー専門部隊が地方の部隊として初めて発足している。
南西諸島では洋上の段階で離島侵攻を阻止するために、地対艦ミサイル部隊の配備計画が進む。防衛省幹部は「中国は巡航ミサイルの長射程化に加え、安全保障上の脅威が高まっているサイバー、電磁波の領域での攻撃能力を増している」と指摘。「自衛隊は指揮通信系統の防護や、脅威圏外からの迎撃に重点を置く」と話す。
電子戦部隊は80人程度で、離島侵攻の予兆があった場合には、相手のレーダーやミサイル誘導用の電波を妨害し、陸自の通信を防護。空中の司令塔とも呼ばれる早期警戒管制機の通信を無力化する外国製の対空電子戦装置の導入も計画しており、イスラエル製などが候補に挙がっているという。電子戦部隊新編は20年度予算の概算要求に盛り込まれた。
同駐屯地には今年3月、サイバー攻撃に対処する方面システム防護隊(約40人)が発足した。有事に急派される離島防衛専門部隊の水陸機動団(長崎県佐世保市)や即応機動連隊(熊本市)に同行し、ネットワークを防護する。陸自幹部は「九州には有事の初動対処部隊が集約される」と説明する。
一方、宮古島(沖縄県宮古島市)には艦船を攻撃できる12式地対艦ミサイル部隊と、航空機や巡航ミサイルを迎撃する地対空ミサイル部隊が20年3月末までに配備される。両部隊は奄美大島(鹿児島県)に既に常駐。駐屯地建設中の石垣島(沖縄県)にも将来、配置される。
有事には島内を移動しながら対艦、対空ミサイルを発射するが、敵の巡航ミサイルが飛来、着弾する武力攻撃事態も想定される。
奄美大島の人口は約6万人、宮古島市は約5万5000人。救難物資や島外避難の輸送手段確保に自衛隊の支援は欠かせない。国民保護法に基づき自治体と自衛隊が緊密に連携し、住民の安全を確保できるかが問われる。
一言コメント
予算はどれくらいかかるのかな?
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