中国産梅を「国産」と偽装 北九州の食品加工会社 内部告発で判明
北九州市小倉南区の食品加工会社が中国産梅を大分県産と偽ってメーカーに卸していたことが11日、西日本新聞「あなたの特命取材班」への内部告発で分かった。食品加工会社の幹部は取材に「国産梅が足りない時に中国産を使い、うその表記をした」と産地偽装を認めた。同社の梅は少なくとも5年以上にわたり、福岡県内で製造されている梅を使ったふりかけ商品に使われていたという。タケノコや野沢菜など梅以外の食品についても、産地を偽装して全国の小売店やメーカーに販売した疑いがある。
食品加工会社の専務(38)らは、取材に「国産の梅(の収穫量)が少ないので、一部を中国産と混ぜたり、中国産梅を『国産』としてメーカーに出したりした」と偽装を認めた。一方で、偽装を始めた時期や総量については明言を避け、今後は産地表記について「行政の指導を受けながら、改善する」としている。
同社の元社員ら関係者によると、少なくとも5年前から中国産の梅や野沢菜などを「大分県産」や「国産」と偽り小売店やメーカーに販売。福岡県内のメーカーには年間100トン近い梅を卸し、ふりかけ商品に使われていたという。
梅の着色から発送作業までを担当していたという元社員の女性は「届く梅はどれも中国産だが、大分産のシールを貼って発送していた。国産梅が届くのは一度も見たことがない」と証言。別の元社員は「偽装は明らか。このままメーカーや客をだまし続けていいのか」と疑問を口にした。北九州市保健衛生課からは産地偽装に関する聞き取り調査を8月に複数回受けたという。
梅のふりかけ商品を販売する福岡県内のメーカーは「産地証明書を発行してもらい注意を払ってきた」と説明。本紙の取材を受けた後に食品加工会社に確認を求めた際の回答書にも「国産」と記されていたという。加工会社が偽装を認めたことを受けて、「これまでも商品に関しては厳しく管理をして参りましたが、巧妙に偽られていたことについて強い怒りを覚えるとともに、消費者の皆様の信頼を裏切る結果となったことについて、深く謝罪申し上げます。今後は皆様の信頼回復に向けて、懸命に努力を重ねて参ります」とのコメントを出した。
同様に梅を仕入れ、ふりかけ商品として販売する静岡市のメーカーも「国産の表示を信じてきた。偽装であれば、客にうそをついていることになる」と困惑した様子だった。
食品加工会社は当初、本紙の取材に「偽装はしていない。中国産と国産を混ぜることもない」と偽装を全面否定していた。
産地を偽装した場合、食品表示法違反などに問われる可能性がある。
食品加工会社(北九州市小倉南区)の専務、工場長との一問一答は次の通り。
-中国産と国産の梅を混ぜたり、中国産梅を「国産」として(メーカーに)売ったりしたことはあるか。
「少しあります」
-偽装した期間や量は。
「それについては言えない。取引先などにどう説明するか、弁護士と相談している」
-偽装した梅は、福岡県内の梅のふりかけメーカーに卸しているのか。
「いくつかの仲卸業者を通しているので、どの程度行ったかは分からない。(偽装した梅が)入っていた可能性はある」
-なぜ偽装したのか。
「国産梅がないから」
-中国産の方が価格が安いからではないのか。
「安いからではなく、物がないからだ。国産梅の流通する量はとても少ない」
-中国産と国産では流通価格に1キロ当たり約300~400円の差がある(中国産の方が安い)と聞く。
「(偽装は)安いからではない。中国産の方が種抜きなどの加工が施されており、加工品に使いやすい」
-当初の取材には産地偽装を否定していたが。
「大手メーカーとの取引がなくなったら会社はつぶれる。従業員をどう守るか考えた結果。隠せるなら徹底的に隠そうという気持ちがないわけでもなかった」
-今後はどうするのか。
「行政や取引先に説明し、改善していくつもりだ」
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行政もしっかり公開してほしい。
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