流出油の回収「終了」 民家や農地は復旧見通せず 佐賀・大町町
- 事件・事故
- 2019年9月11日
8月の記録的な大雨の際に鉄工所から油が流出した佐賀県大町町で、国土交通省や自衛隊、県などによる油の回収作業が10日、終わった。被害拡大の可能性が低くなったとしているが、町内の一部には油が付着した農地や民家が残り、復旧は見通せない。町民からは「油の完全な除去には程遠い」という声が漏れる。
県や町によると、8月28日、鉄工所から約5万リットルの油が流れ出て、油混じりの水に民家約100棟が漬かった。自衛隊員らが緊急対策として、鉄工所の周辺などにオイルフェンスを設置し、表面に浮いた油を吸着マットで除去してきた。
10日は自衛隊員や県職員ら659人態勢で水路の油を取り除き、油が浮いていないことを最終確認。近くの六角川や有明海でも油は確認されなかったという。
一方、付近の民家では住民が油汚れを清掃しても、鼻を突く臭いが残る。県は「個人所有の民家の油除去は住民が行うのが原則」と説明。資金面の支援についても町は国の支援方針を待って被災家屋の調査に入り、対応を決める考え。
油被害を受けた町内の水稲の作付面積は約26ヘクタールに上り、油混じりの水に漬かった稲穂がそのまま残されている。県は油被害を受けた農作物を全て刈り取り、廃棄する方針を示すが、刈り取り時期などは未定だ。
油混じりの水に自宅と農地が漬かった農業の男性(65)は「浸水してコンバインなどの農機具も使えない。残った水稲の刈り取りはどうなるのか」と不安を口にする。農機具だけで被害額は数千万円。5年前にリフォームしたばかりの自宅に残る油の臭いで、家族は体調不良を訴える。「農機具や家の補償はどこがしてくれるのか。再び稲を育てても風評被害があるかもしれない」と肩を落とす。
一言コメント
油を回収しても、問題はまだ山積のようだ。
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