英上院、EU離脱延期法案を承認…首相と議会の対立激化
- 国際
- 2019年9月7日
【ロンドン=広瀬誠】英上院は6日、10月末の欧州連合(EU)からの離脱期限を延期する法案を承認した。法案はエリザベス女王の裁可を経て、9日までに成立する見通しだ。延期に反対するジョンソン首相は、下院の解散・総選挙を求める動議を9日に再び採決にかける方針で、否決されても、総選挙実施のための別案を検討していると伝えられる。議会反対派との攻防は激しさを増しそうだ。
英BBCなどによると、英国がEUから何の取り決めもなく抜ける「合意なき離脱」を阻止しようとする労働党や自由民主党など野党4党は6日、政府が総選挙の早期実施を再び求めても拒否することで合意した。
ジョンソン氏は10月末の離脱を公言し、5日の演説では「離脱を延期するなら死んだ方がましだ」と語った。10月15日の総選挙を目指すが、そのためには下院(定数650議席)の3分の2(434議席)以上の賛成が必要で、最大野党・労働党の賛成が欠かせない。だが、野党は離脱期限の延期を優先させる方針を確認したため、現状では9日の動議は再び否決される見通しだ。
このため、英メディアなどによると、ジョンソン氏は、自ら内閣不信任案を提出して総選挙に持ち込んだり、成立予定の離脱期限の延期法案を無視し、総選挙実施を可能にする新たな法案を提案したりするなどの可能性が指摘されている。
ジョンソン氏は地方を遊説し、積極的な投資などを訴え、総選挙を見据えたアピールを続けている。しかし、離脱期限が延期され、総選挙実施のめどが立たなければ、求心力を失う可能性がある。
一言コメント
迷走はしばらく続きそうだ。
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