熊本県の中小高度化資金 貸付金57億円、回収停滞 27億円が不良債権化
- 政治・経済
- 2019年9月2日
中小企業の組合などに融資する「熊本県中小企業高度化資金」の貸付残高約62億円のうち、9割に当たる約57億円で回収が滞っていることが31日、分かった。このうち不良債権化した回収困難な未収金額は2018年度末で9団体27億5200万円。返済を猶予・延長している7団体への貸付残高も28億9300万円に上っている。
同資金の未収金額は、個人県民税や不動産取得税などを含めた県全体の未収金(17年度59億6600万円)の5割弱を占める。
同資金を巡っては、県はこれまで558団体に計1133億6500万円(1070件)を貸し付けた。県商工振興金融課によると、18年度末時点の貸付残高は61億8500万円で、返済が終わっていないのは24団体。
このうち、共同店舗や工業団地を整備した9団体は、14年度までに全て廃業した。大型ショッピングモールの進出や、東南アジアの経済発展に伴う製造業の競争激化などを理由に、資金繰りが悪化したという。
貸付残高に占める未収金の割合は年々増えており、08年度に9・9%だったのが、18年度は44・5%まで増加している。進む不良債権化に、同課は「売り上げの見通しなど事業計画は適正に審査している。廃業や収益悪化は外的な要因が大きい」と話す。
県は連帯保証人を対象に返済を求めているが、未収金の回収は年間で数百万円程度にとどまる。同課によると、債権放棄はこの10年間で1件。事実上廃業した1団体の債権3320万円を18年度に放棄した。
一方、返済を猶予・延長しているのは7団体。経営再建を進める馬肉製品製造・販売の千興ファーム(御船町)はその一つで、同社への貸付残高16億5千万円のうち、約3億7千万円を債権放棄する方針を決め、9月定例県議会に議案を提出する。
1963年に始まった同資金は、民間の金利低下もあって2010年度以降、新たな融資はしていない。残る債権については「県中小企業団体中央会や弁護士の助言を受けながら管理を徹底したい」(同課)としている。
一言コメント
ホントに審査は適正だったのかな?
コメントする