ドライバーが配達先の女性にLINEで連絡 アマゾン配送業者から個人情報が流出
- 企業・経済
- 2019年8月3日
アマゾンが物流で頭を抱えている。年間5億個という出荷数の約7割を請け負っていたヤマト運輸で、2017年春、200億円超の未払い残業代が表面化、宅配便の受け入れ個数が制限され、運賃は大幅値上げに。アマゾンの配送費は1個200円台後半から400円台に上がったと言われる。
それを受け、アマゾンは「デリバリープロバイダ」と呼ぶ運賃の安い事業者に、配送の一部を移行してきた。そのうちの1社であるT・М・G(本社・茨木市。以下T社)で個人情報が漏洩しているという。同社の下請け業者で働くドライバーのA氏が明かす。
「T社がアマゾンの配送を福岡で始めたのは17年秋。現在は福岡市内全域をカバー、配送業務の大部分は地場の業者4社に丸投げしています」
福岡市内で配送される荷物は、平均で1日1万2000個前後、繁忙期は2万個近く。
「荷物の情報などをドライバーに伝えるシステムを、T社は持っていませんでした。そこで、LINEのグループをつくって、ドライバー個人の携帯に再配達や時間指定の変更を伝えています。システムや専用端末を作る必要がなく、無料だからと聞きました」
そう言って見せてくれたA氏の携帯電話のLINE画面には、利用者の氏名、住所、電話番号などが書かれた書類や写真が多数添付されていた。
個人情報を悪用するドライバーが後を絶たないという。
「配達先の女性にLINEで連絡しようとしたケースが知っているだけで4件。朝礼で報告があり、今後悪用しないようにと注意を受けました」
だが、人手不足で辞められると仕事が回らない。そのドライバーを配達エリアを変え、次の配達員が見つかるまで続けさせているとA氏は言う。
「他の大手宅配業者は、個人情報の取り扱いに十分注意しているそうです。T社はあまりに杜撰で、告発しました」
アマゾンとT社の回答。
「ドライバーには問合番号等の必要情報を携帯電話の音声通話で伝えるルールを協力会社にお願いしています。お問い合わせの件は調査中です」
ヤマト運輸も佐川急便も、システム開発専門の関連会社を持ち、大きな投資をしてシステムをアップグレードしている。“顧客第一主義”を掲げるアマゾン。より一層のセキュリティ対策が望まれる。
一言コメント
悪用されてもおかしくない話だ。
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