安倍首相、外交総仕上げに全力=米有志連合への対応焦点【19参院選】
- 政治・経済
- 2019年7月23日
安倍晋三首相は約2年後の自民党総裁任期切れをにらみ、安倍外交の総仕上げに全力を挙げる方針だ。
当面は中東ホルムズ海峡などで船舶の護衛に当たる米国の有志連合構想にどう対応するかという難題が待ち受ける。こう着状態にある日本人拉致問題と北方領土問題について打開の糸口をつかめるか、日韓関係悪化に歯止めをかけられるかも焦点だ。
「国民の声を力として国益を守る外交を展開したい」。首相は22日の記者会見でこう語った。
有志連合は、日本の海運会社のタンカーなどへの攻撃がイラン近海で相次ぐ中、米国が60カ国以上に結成を呼び掛けた。トランプ米大統領は6月下旬、日本や中国を名指しして「自国の船は自国で守るべきだ」とツイート。日本の参加も期待しているとみられる。
しかし、憲法9条の制約があり、自衛隊参加のハードルは高い。対イラン包囲網の構築が狙いとされる有志連合に加われば、「イランと対話できる関係」(首相)が損なわれる懸念もある。
22日にはボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が河野太郎外相らと協議したが、首相は会見で、有志連合への対応について「どういう目的か伺ってみないとよく分からない。まずそれが先だ」と述べるにとどめた。対米外交では、トランプ氏が8月決着に意欲を示した貿易協定交渉でも難しいかじ取りを強いられそうだ。
首相は拉致問題と北方領土問題でも真価が問われる。「戦後日本外交の総決算」と前のめりな発言を繰り返してきたが、ともに暗礁に乗り上げている。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は首相が目指す日朝首脳会談に応じる兆しはなく、ロシアは領土交渉で態度を硬化させている。首相は会見で、拉致問題について「責任の重さを痛感している」と語り、領土交渉に関しては「少しでも前進させるべく努力を重ねたい」と述べたが、期待を抱かせるような言葉はなかった。
「過去最悪」と言われる日韓関係の改善も難題だ。関係悪化の発端となった韓国人元徴用工訴訟の問題をめぐり、韓国は日韓請求権協定に基づく仲裁手続きを拒否。日韓対立の長期化は避けられないとの見方が強まっている。
首相は会見で「信頼の問題だ。韓国は(日本との)国際約束を一方的に破っている。まず約束を守ってもらいたい」と突き放した。政府内では「このままでは日米韓3カ国の連携にも響きかねない」(外務省幹部)と懸念する声が出ている。
一言コメント
意外と外交も課題が山積している。
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