空前のフィットネスブーム 解約などスポーツジムをめぐるトラブルが急増
- 企業・経済
- 2019年7月15日
健康志向の高まりや来年夏に開催される2020年東京五輪・パラリンピックの追い風を受けて、空前のフィットネスブームが続いている。トレーナーがマンツーマンで指導し、「短期間で効果が出る」とうたう「パーソナルジム(プライベートジム)」も増えているが、こうしたスポーツジムで、解約などをめぐるトラブルが急増している。背景には急速な拡大に伴うトレーナーの「質」や強引な勧誘などの問題があり、注意が必要だ。(大渡美咲)
東北地方に住む40代の男性は、通っているパーソナルジムのオーナーから、強引にサプリメント(栄養補助食品)を買わされそうになった。「以前通っていた別のジムでも、会員とトレーナー間で女性をめぐってトラブルがあった。最近、質の悪いジムが増えている気がする」と打ち明けた。
国民生活センターによると、スポーツジムやフィットネスクラブをめぐる相談件数は近年、相次いで寄せられている。多いのは、解約しようとすると不当に高額を請求されたり、男性のようにジム側から無理やり物品を売りつけられたりするケースだ。
今年に入ってから寄せられた相談では、以前受けていたパーソナルトレーナーのトレーニングをそのジムでも受けられると聞き24時間型のフィットネスジムと契約したが、契約後に「ジムの規定でジム専属のトレーナーのトレーニングしか受けることができない。6カ月間は解約できない」と言われた(60代の女性)▽高齢者向けの体操教室と契約したらサプリメント付きの月額1万5千円のコースを契約させられた。後日解約したいと申し入れたが、聞き入れてもらえなかった(70代女性)-などのケースがあった。
同センターによると、スポーツジムをめぐる相談件数は平成30年度は前年度比234件増の3789件で、21年度(2371件)に比べて約1・6倍増加。今年度も4月から今月24日に575件の相談が寄せられている。
背景には、東京五輪・パラリンピックを前に盛り上がる健康志向がある。経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」では、フィットネスクラブ全体の30年度売上高の合計は同1・1%増の3375億円と、3年連続で増加した。
中でも、パーソナルジムは数年前、会員の肉体が劇的に変化した様子を「ビフォー・アフター」で紹介するテレビCMを大手業者が放映し始めてから、一気に知名度がアップ。トレーナーが会員をマンツーマンで指導する形態を売りにするジムが急増した。
パーソナルジムを紹介するウェブサイトを運営する「トレーザップ」の担当者は、「ある程度の人数が同じ空間でトレーニングする通常のジムとは違い、パーソナルジムはマンションの一室に個人用の器具さえ用意すれば開業でき、参入障壁が低い。5年前に比べて10倍ほど増えている」と話す。
フィットネス大国の米国ではパーソナルトレーナーとして活動するには協会が認定する資格が必要だが、日本では無資格でも可能。このため、質の悪いトレーナーや、強引な勧誘をする悪質店も増えているのが現状という。
担当者は「(トレーニング)市場は飽和状態に達しつつある。少ないパイを奪い合って業者の淘汰(とうた)が始まるだろう」と指摘している。
一言コメント
そういえば最近ジムが増えているような気がする。
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