不適切営業、常態化か かんぽ保険料2.2万件二重徴収
かんぽ生命保険は9日、顧客の保険乗り換えの際に、新旧の保険料を6カ月以上にわたり二重に受け取っていた事例が約2万2000件あったと公表した。保険を販売した郵便局員が手当増額を目当てに意図的に旧契約の解約時期を遅らせていた疑いがあり、件数はさらに膨らむ可能性がある。かんぽ生命ではこれとは別に、顧客に不利益が生じた乗り換え契約が2万3900件あったことが判明。金融庁は不適切な営業が常態化していた疑いがあるとみて、業務改善命令など行政処分の検討に入った。
一連の問題を受け、かんぽ生命の植平光彦社長と日本郵便の横山邦男社長は10日、東京都内で記者会見を開いて謝罪する予定。麻生太郎金融担当相は9日の閣議後の記者会見で「保険の募集業務の適切性が問題だと認められた場合は必要な改善を促す」と述べた。
かんぽ生命は2016年4月~18年12月の間の契約乗り換えを調査した。新規契約で保険料の二重払いがあったのは▽16年度約6400件▽17年度約8500件▽18年4~12月約7000件。いずれも新契約に加入後7カ月目に旧契約を解約し、その間は保険料の二重払いが生じていた。
かんぽ生命は内部ルールで、新規契約前の3カ月間と契約後の6カ月間に旧契約を解約した場合、新規契約ではなく「乗り換え」として扱っている。新規契約の獲得で局員が受け取る手当は乗り換えより多いため、旧契約の解約時期を遅らせていた可能性がある。
大手生保には二重契約のような顧客に不利益になりそうな契約を自動的にチェックし、確認するシステムがある。かんぽ生命にはこのシステムがないため、長期の二重契約が事実上放置されていたとみられる。
調査では、新契約加入の3カ月以上前に旧契約を解約して一時的に顧客に無保険の状態が生じたケースも約4万7000件あった。保険会社側の都合で顧客に不利益な乗り換えをさせる行為は「乗り換え潜脱(せんだつ)」と呼ばれ、保険業法で禁止されている。
かんぽ生命は6月27日、保険の乗り換え契約で顧客が不利益を被った事例が2万3900件に上ると発表。今回明らかになった2万2000件はこれとは別の事案で、同社は他にも同様の事例がないか調査を進めている。
一言コメント
熱いお灸をすえたほうがいい。
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