クジラの町、期待と不安=商業捕鯨再開-太地・下関
- 政治・経済
- 2019年7月1日
商業捕鯨が7月1日、31年ぶりに日本近海で再開される。
クジラ漁が根付く和歌山県太地町や山口県下関市では、待ちわびた再開に期待の声が上がる。一方、捕獲や鯨肉販売が思うようにいくのか、先行きへの不安も広がっている。
古式捕鯨発祥の地として知られる太地町。小型捕鯨船「第七勝丸」を保有する太地町漁業協同組合の貝良文参事は出港を前に、「調査捕鯨と異なり船上で血抜きができるから、より新鮮でおいしい鯨肉を食べてもらえる」と自信を示す。
太地は反捕鯨派による映画の舞台にもなるなど、国際世論に翻弄(ほんろう)されてきた。民宿を営む女性は「町民はクジラと共に生きている」と断言。「世論に傷つくこともあるが、うまく利用して観光客を誘致したい」と前向きだ。
一方、政府がまだ捕獲枠を発表していないこともあり、飲食業者らは流通量を気にしている。クジラ料理専門店の女性店主は「良い肉がすべて東京に行ってしまったら困る」と不安げだった。
南極海で調査捕鯨を行ってきた母船「日新丸」の基地である下関市。洋風居酒屋を営む30歳の男性は、新しくクジラ料理店をオープンするという。「(名物の)フグ料理店は飽和状態。クジラで下関を盛り上げたい」と力を込める。鯨肉の加工業者は「入手しやすい価格になれば消費も増える」と値下がりに期待する。
捕鯨産業に長年携わる男性は、極寒の南極海での捕鯨では、事故による行方不明者や反捕鯨団体の妨害行為によりケガをした船員もいたことに触れ、「命懸けで守った捕鯨文化を維持するため、今後も努力しなくては」と真剣な表情で話していた。
一言コメント
再開してみないとわからないということか…
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