民泊1年 届出件数7・8倍 都市に集中、地方への普及課題
- 政治・経済
- 2019年6月15日
住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されて15日で1年。民泊の届け出件数は1年間で7・8倍と順調に増加しており、特に都市部では訪日客の宿泊施設としての活用も進んでいる。しかし届け出件数は地方では伸び悩みが目立つ。空き家を活用した施設などが地方への普及策として期待されるが、トラブルを警戒する自治体による過度な規制も問題視されている。
観光庁のまとめによると、民泊の届け出件数は、新法施行当初の2210件から毎月増加を続け、今月7日時点では当初の7・8倍の1万7301件に達した。そのうち、東京23区が5663件と突出して多くなっている。
民泊は旅行者らの宿泊先として一般住宅の空き部屋などを有料で提供する形態。新法施行で、自治体などへ届け出れば全国で営業できるようになった。ホテルや旅館への配慮から、営業日数は年間180日までに制限されているが、今秋に日本で開催されるラグビーワールドカップや来年の東京五輪・パラリンピックなど、大規模イベント時の宿泊施設としての役割も期待されている。
民泊仲介最大手の米エアビーアンドビーの仲介サイトに掲載される物件数は無届けで営業される「ヤミ民泊」の削除で一時、2万2千件まで減ったが、5月末には5万件に達した。今後は訪日客の4分の1を占めるという中国人観光客向けに、スマートフォンアプリでの問い合わせサービスを充実させるなどの取り組みを進める。
ただ、この1年で、民泊が東京のほか大阪や北海道など一部の地域に集中して届け出られる傾向も明らかになった。エアビーの共同創業者兼最高戦略責任者のネイサン・ブレチャージク氏は「日本全国には850万軒の空き家がある。空き家で思い出が生まれるようにしたい」と、空き家を活用して地方の民泊の普及を進める方針を強調する。
しかし民泊利用者と施設周辺住民のトラブルを警戒する一部の自治体には、民泊事業開始前の周辺住民への事前周知を根拠なく義務付ける手続きや、周知期間を過剰に長くして届け出を受理しないといった動きも根強い。政府が目標に掲げる来年の訪日客4千万人の受け皿として民泊の普及を進めたい国や事業者と、トラブルを警戒する地元自治体や住民との間での調整が必須となりそうだ。
一言コメント
五輪特需をアテにしている。
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