自然体で親善深められ 即位後初の宮中晩餐会
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- 2019年5月28日
令和最初の国賓として来日中のトランプ米大統領夫妻は27日夜、天皇・皇后両陛下主催の宮中晩餐(ばんさん)会に出席した。午前には歓迎行事と会見も行われ、英語がご堪能な両陛下にとって即位後初の国際親善の場は和やかなムードで進んだ。一方、トランプ大統領は晩餐会に先立ち、北朝鮮による拉致被害者家族とも面会。「(拉致は)いつも私の頭の中にある」との大統領の強い言葉に、被害者家族は「勇気をもらった」と期待に胸を膨らませた。
午後7時35分過ぎ、皇居・宮殿「豊明殿(ほうめいでん)」。芝祐靖(すけやす)氏作曲の「親愛」が流れる中、両陛下はにこやかな笑みをたたえながらトランプ大統領夫妻とともに会場に入られた。即位後初となる宮中晩餐会でのお言葉で、天皇陛下は日米の関係を「極めて親しい隣国」「強い友情の絆(きずな)」とご表現。平成23年の東日本大震災支援で、米国軍人が参加した「トモダチ作戦」を挙げ「格別の温かい支援を頂いたことを、私たちは決して忘れることはないでしょう」と謝意を伝えられた。
トモダチ作戦への謝意や両国間の歴史の文言は、26年に当時のオバマ大統領を迎えた晩餐会の席で上皇さまも述べられており、陛下が踏襲された形となった。
一方、陛下は昭和45年の大阪万博で「月の石」を見たことや、60年の英国留学の帰途に訪米した経験をご披露。皇后さまも幼少期を米国で過ごされたことを紹介し「懐かしさと共に、特別の親しみを感じています」と話された。
最後は上皇ご夫妻が先の大戦の慰霊と国際親善に努められてきたことに触れ「日米関係が、多くの人々の犠牲と献身的な努力の上に築かれていること」を胸に刻むとご指摘。将来に向け、両国が「世界の平和と繁栄に貢献していくことを切に願っております」と述べられた。「自然体」を貫かれ、穏やかな口調での歓迎の言葉にトランプ大統領は静かに聞き入っていた。
これに先立つ午前9時20分、両陛下は宮殿の南車寄せで大統領専用車から降り立ったトランプ夫妻に英語でごあいさつ。陛下は大統領、続いてメラニア夫人と笑顔で握手を交わされた。続く歓迎行事では、陛下が大統領の進む方向を示して導かれる様子もみられた。
両陛下はそのまま夫妻を宮殿に招き入れ、会見に臨まれた。宮内庁によると、両陛下の自然体の歓迎を受けてか、大統領は平成29年11月に上皇ご夫妻と会見した際のような緊張は見られず、リラックスした雰囲気だったという。陛下は約15分にわたるご懇談で「昨日は相撲をご覧になられましたが、いかがでしたか」と話題を振られる場面も。相撲をご覧になるかとの質問に「大統領が昨日ご覧になったほど、近くでは見ません」と親しみを込めて返す余裕も見せられた。
会見では贈り物の「御贈進品」の交換も行われた。大統領夫妻から陛下が趣味で演奏されるビオラが贈られた際は、皇后さまが陛下に「今夜お弾きになられたら」とユーモアを交えて話すなど、和やかな雰囲気を演出された。
一言コメント
両陛下も堂々の晩餐会デビューだ。
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