公証人ポスト回すため?「10年で退職」念書
法務省と検察庁が早期退職を促す検事正クラスの幹部らに公証人ポストをあっせんしていた問題で、幹部らが公証人への就任時、最長10年で退職することを誓約する「念書」を提出していたことが関係者の話でわかった。同省が検察出身者の任期を制限することで、公証人ポストを後任にスムーズに回す狙いがあったとみられる。
読売新聞の取材に対し、複数の公証人が念書の存在を認めている。公証人は民間への開放を促す目的で2002年度から公募制が導入された。公募で選ばれたはずの公証人の任期を制限した念書の存在は、検察出身の公証人が検察人事に組み込まれていたことを裏付ける事実といえそうだ。
公証人法は、法務大臣は70歳に達した公証人を免ずることができると規定しており、公証人の定年は事実上、70歳となっている。
複数の法務・検察関係者によると、法務・検察内部の慣行では、▽検事正経験者が公証人に再就職した場合、任期は最長10年か70歳まで▽地検の支部長や検察事務官ら検事正経験者以外の公証人の任期は最長8年――となっていた。
この慣行に沿い、50歳代で公証人になる検事正は、10年後に退職することが明記された念書に署名。60歳以降に公証人に就いた検事正が、70歳の誕生日までに公証人を辞めると誓約した念書を同省に提出するケースもあった。地検の支部長や検察事務官ら検事正以外の念書には、8年後の退職が明記されていたという。
関東地方の検事正を50歳代で退官した東京都内の公証人は就任時、10年後の退職を誓約した念書を同省に提出したと証言。「公証人に長く居座ると検察人事が回らなくなる。後進にポストを譲るためには仕方ない」と明かした。
西日本の地検支部長だった別の公証人も、8年後に公証人を退職するとした念書を提出したことを認め、「任期は10年だと思っていたので、8年だと知り、驚いた」と語った。
3月末時点で全国の公証人497人のうち、検察官OBは199人で全体の40%を占める。同省人事課が作成した配置案に基づき、大半のポストが「検察枠」として、事務官も含めた検察出身者同士で引き継がれている。
法務・検察は、63歳の定年を控えた60歳前後の検事正クラスの幹部らに「後進に道を譲る」との理由で早期退職を促し、公募前に具体的な公証人ポストを提示していた。人事課は「公募に手を挙げてくれる人を確保するためだった」としているが、公募で選ばれたはずの検察出身の公証人についても、一律に退職時期をコントロールし、公証人の空きポストを確保していたことになる。
法務省人事課は、念書の存在について「把握していない」とする一方、最長10年で退職を求めていることを認め、「公証人も公務員なので同じ職場、ポストが長すぎると弊害がある。公証人の新陳代謝として10年を目安にお願いしている」と説明した。
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山下法相は24日の閣議後記者会見で、法務・検察による公証人あっせん問題について「公募に応募する人数が少ないこともあり、様々な工夫をしているようだ」とし、「法律やルールに照らしてどうなのか、国民の疑念を招かないよう、しっかりと確認し、適切に対応したい」と述べた。
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司法も腐ってきた!?
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