タイ拠点詐欺、容疑者の大半は多重債務者 強制的に違法労働か
- 詐欺・悪徳商法
- 2019年5月25日
警視庁が詐欺容疑で15人を逮捕した事件は、タイ警察当局が集団で生活する不審な日本人の一軒家を急襲した結果、日本国内を狙った特殊詐欺のアジトと判明するという異例の経過をたどった。振り込め詐欺の海外拠点の摘発は極めてまれで、警視庁は全容解明に向け、国内からの指示態勢など背後関係についても捜査を進める。15人の多くは多重債務者だったとみられ、半ば強制的に違法労働に従事していた可能性が浮上している。
タイ中部のリゾート地として知られるパタヤ。15人は外国人が多く訪れるビーチから約5キロ離れた富裕層向け住宅街の一軒家で、共同生活を送っていた。男らはひそかに、日本国内に電話をかけ続けていた。
発覚の端緒は、一軒家の大家からタイ警察への通報だった。「約2カ月前から日本人に貸している住宅に多数の電話が設置されている」。タイ警察は3月、一軒家に踏み込み、振り込め詐欺の手順マニュアルやIP電話機、パソコンなどを押収。詐欺拠点として稼働していた実態が初めて浮上した。
だましの電話をかける「かけ子」グループのメンバーとされる15人だが、多くは多重債務者だったとの情報がある。関係者は「借金の返済ができず、タイに飛ばされたようだ」と明かす。
15人のうち、12人の本籍地は九州・沖縄で、九州に軸足を置いて生活する中で借金を重ね、暴力団関係者から取り立てを受けていたとされる。拠点には食糧が備蓄されていたほか、貴重品は一部メンバーのみが開けられる金庫に入れられており、逃亡を防止する措置が取られていたようだ。
警察当局の摘発強化を受け、拠点を海外に移す振り込め詐欺グループの存在は10年ほど前から確認され始めた。関係者によると、かけ子を現地に派遣するため、暴力団関係者のネットワークを活用することもあるというが、今回のように摘発に至るケースはまれだ。
警視庁は15人のグループ内での役割や渡航の経緯について捜査するとともに、一軒家の賃料や電話機、パソコンといった機器調達など拠点の設営費用を負担し、現地に指示を出していた背景組織があるとみて実態解明を進める。
一言コメント
果たして実態を明らかにできるのか?
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