データミックスは企業間取引・企業経営に必須なビジネスニュース、政治・社会ニュースを配信しています

お名前ドットコム

巨人上原は超個性派「執念」とともに歩んだ21年間


日本人初の日米通算100勝、100セーブ、100ホールドを記録している巨人上原浩治投手(44)が20日、都内のホテルで現役引退を発表し、涙の会見を行った。今後については未定としたが、マチュア選手の指導には興味を示した。新人時代から上原を取材し続ける小島信行記者が、個性的な上原のとっておきのエピソードを紹介する。

◇   ◇   ◇

上原にしか見えない“道”がある。昨年、左膝のクリーニング手術を受け、巨人から契約解除を告げられた。「膝さえ治って、キャンプでしっかりと調整すれば、まだ現役でやれる自信がある」と現役続行を決意。ところが現役への強い執念をみせながら突然の引退宣言。近年、上原のように実績を残している大物選手が現役にしがみつく傾向が強いが、あまりにも早すぎる5月途中での引退だった。

賛否両論あるだろう。確かに2軍での成績も思うように上がらなかったが、もともと夏場に強いタイプ。しかも手術明けのシーズンでもあり、何も5月で諦めることはない。しかし「これ以上やっても戻らない。それなら辞めるしかない。調子が上がらないベテランのせいで、若手の出番を奪いたくない」と話していた。全力で突っ走ってきた野球人生だからこそ、本人にしか分からない境地があったのだろう。

「0点か、100点か」-。もう少し大げさに表現するなら「生きるか、死ぬか」といった両極端な選択肢しかない。今回、巨人から再契約してもらえなければ、キャンプは背番号なしのテスト生だった。それでも現役続行を希望する上原の執念に、原監督は「あのクラスの選手を背番号なしでテスト生にしたらいけない」と心を打たれ、再契約のGOサインを出した。

何をやるのも両極端だった。東海大仰星時代は「強肩貧打」の外野手。それでも投手としての才能は際立っていた。当時の監督からは何度も投手転向を勧められたが「ピッチャーは走るのがつらいから」と、練習熱心な現在の上原から想像できない発言で断り続けた。結局、東海大にも進学せず、1年間の浪人期間を経て大体大へ。当時の大体大は選手が練習メニューを決める「エンジョイ・ベースボール」。走るのが嫌いだったはずが、一転して投手に本格的に転向し、走りまくって才能を開花させた。

なぜ? と聞かれれば、理由は2つある。1つは本人も即答するが「やらされる練習は大嫌いなだけ」。もう1つは個人的な想像だが「やるからには徹底してやる性格」と自らの習性を知っているから。やると決めたらとことんやっちゃうから、やらない、という論理。

プロ1年目から両極端の片りんはあった。破竹の連勝を続けたが、疲労と慣れないプロ生活のストレスで、口にヘルペスを患った。肉体はボロボロで下血もした。「血便は大腸がんの可能性とか、ヤバイ病気の可能性があるから検査した方がいい」と言っても「それで何かあったら途中リタイアしなきゃならない。トレーナーにも報告してないし、黙っておいてください。シーズンが終わったら検査するから」。シーズン終了後に受けた検査の結果、ただの「切れ痔(じ)」。上原らしい“オチ”がついていたが、プレー続行を選択する執念はその頃から健在だった。

キーワードを「節約」に絞る。携帯の充電代がいくらかかるか知らないが、出先で充電。「もうかった」と子供のように大喜び。トレーニングウエアも何年も着続けるため、メーカー側は「お願いですから新作を着て下さい」と懇願され、最近になってようやく「3年ぐらい着ると、洗濯しても取れない臭いが付くことが分かった。新しいのを着ないと」と反省していた。賞味期限が切れ、色の変わったゼリーも「賞味期限は過ぎても大丈夫」と平気で食べる。提供してくれるメーカーの担当者は「言ってくれれば新しいのを持ってきます。だから古くなったのは捨てて下さい。何かあったら大変ですから」と泣きが入っている。

ただの「節約おやじ」ではない。前回の巨人時代は初勝利を挙げた選手に高級スーツを仕立ててプレゼントしていた。そしてシーズン終了を待たずに引退を決意。プロ野球選手の年俸はほとんどが月割りで支払われるが、当然ながら6月以降の給料はなし。携帯の充電代を節約したかと思えば「辞めると決めた人間がいたらチームに迷惑がかかる。コーチング? 俺がとやかく言ったら今教えているコーチは嫌な思いをするかもしれない」と残りの大金に未練はない。

浪人した経験を糧にプロ入り。「リリーフは絶対にやらない」と言っていた頃もあったが、抑え、中継ぎに転向し、ここまで食らいついてきた。最後は突然のシーズン途中の引退。上原にしか見えない“道”は、上原だけしか歩めない“道”でもあった。楽しくもあったが、取るに足りないことでも見せる執念は、見ている側も疲れさせた。いろいろな選手を見てきたが、上原ほど個性にあふれた選手はいなかった。それだけに寂しさも大きい。本当にお疲れさま!

日刊スポーツ

 

 

一言コメント
こういう選手はめったに出てこない。


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

※日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。

注目他社記事一覧

第3弾 波戸崎崇の思惑と、利用される幹部陣 山下遥香、西岡勇成、船津裕隆の人生はどこへ(後編)

★契約書控え無し移籍金支払い期限無しで辞めたら契約不履行で契約金を払わない悪質スキーム 前編で書いた通り、波戸崎は高学歴で歯車思考の洗脳しやすい従業員を周りに置いているが、バルセロナグループ自体に信用がない為に現地採用の […]

コメントなし

第3弾 波戸崎崇の思惑と、利用される幹部陣 山下遥香、西岡勇成、船津裕隆の人生はどこへ(前編)

前回は、バルセロナグループの金融商品取引法違反やキャストの移籍金詐欺について詳しく述べた。今回は予告していた、西岡勇成、船津裕隆、の情報とバルセロナグループ波戸崎崇と山下遥香のSNSを使ったビジネスモデル(カルト宗教的勧 […]

コメントなし

第二弾 バルセロナグループの黒い噂 可哀想な金魚(移籍したキャバ嬢20名)後編

か弱き金魚達は完全なる被害者であり、バルセロナが撤退した後は中洲の各お店で受け入れるだろう。繁華街で生き抜いた人々にはそのような寛容な思考がある。1人として働きにくいと感じさせてはいけない。元の店に戻りにくいように裏切ら […]

コメントなし

第二弾 バルセロナグループの黒い噂 可哀想な金魚(移籍したキャバ嬢20名)前編

列島は台風が去り徐々に熱気と湿度が下がりつつある。第一弾から調査している実際の内装費はいくらなのか?我々はネットワークを駆使し、オオモ◯総建社員の証言のもと、実質内装費「税抜1.5億円」と確認した。 また、波戸崎氏がソフ […]

コメントなし

第一弾(後)波戸崎崇の投資話と洗脳手法に騙される中洲の人たち

前述の会社ぐるみで一般のキャストに自分達の投資を伏せて、あたかも自分達が特別扱いされてると感じでいる投資者(キャバ嬢)が正に騙されているのだ。調べるほどバルセロナという会社は詐欺と欺瞞、嘘で固められたマルチ詐欺集団のよう […]

コメントなし

注目他社記事一覧

独自記事

【松本昌大】アフターコロナシリーズEP2~事件師たちを追う~

2024年の日本の選挙、いやー大波乱でしたね!自民党がまさかの過半数割れ。とはいえ「まあ、そうなるよね」と予感してた人も多いでしょう。世の中、どこにでもある「不信感」。これが政治だけじゃなく医療福祉業界にも広がってるんで […]

【松本昌大】アフターコロナシリーズEP1~事件師たちを追う~

昨年、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行した。今年に入り日本ではプロ野球よりメジャーリーク大谷の話題で日本が明るくなり活気が戻ってきた。活気が戻りつつ街が賑わえばやはり増え […]

コメントなし

詐欺師か?ただの無能経営者か?行橋が生んだ経営者一家 村田晃士を追及する(第5弾)

株式会社ブランニュープランニングの終りの始まりが来た。 民事再生という逃げ道をとった村田晃士氏 登記簿(関税人の名前消して) 3月末に動きがあった。私共データミックスの情報が嘘ではないことを証明した内容だ。(株)ブランニ […]

1件のコメント

詐欺師か?ただの無能経営者か?行橋が生んだ経営者一家 村田晃士を追及する(第4弾)

2024年、石川県能登半島での大地震から始まってしまい、衝撃的な令和六年のスタートに不安を感じたが、被災者の皆さんの行動力や頑張りに胸を打たれながらの2ヶ月でした。特に心苦しいのがこんな大変な状況なのに発生してしまうのが […]

2 comments

詐欺師か?ただの無能経営者か?行橋が生んだ経営者一家 村田晃士を追及する(第3弾)

今年も残すところあとわずかとなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。 アメリカは大谷翔平選手移籍の話題で盛り上がる中、わが国では政治家の裏金問題が岸田政権を揺るがす事態となっています。 今から来年のことが心配になっている […]

コメントなし

独自記事一覧

石川の一撃

「NetIB News」「データマックス」は善か悪か?信念か金か?ゴルフ場を巡る攻防「尾崎朝樹氏・田原司氏と児玉氏との関係性は?」(第11弾)

中国で発生した新型肺炎は終息する兆しがなく、世界中で猛威を振るいつつあります。 暖かい季節になってきましたが、読者の皆様も健康管理など、くれぐれもご留意ください。 前回、ザ・クイーンズヒルゴルフクラブ(以下クイーンズヒル […]

4 comments

「NetIB News」「データマックス」は善か悪か?信念か金か?ゴルフ場を巡る攻防「田原司氏と児玉氏との関係性は?」(第10弾)

温暖化と言われる時代ですが、やはり寒い季節ですね。 読者の皆さん風邪など引かないようにしてくださいね。 児玉氏の毎年の様にお友達と行われるマックスゴルフコンペ動画を見て 貴殿のスイングに目を奪われましたよ。 それに加え「 […]

1件のコメント

「NetIB News」「データマックス」は善か悪か?信念か金か?役員構成変更そして今後のI・Bは?(第9弾 後編)

豪雨、台風と今年も不安定な夏でしたが、やっと涼しくなってきました。 東京五輪もいよいよあと1年となりましたが、読者の皆様はいかがお過ごしでしょうか。 (取締役 児玉崇氏) 前回はデータ・マックス社の度重なる役員構成変更に […]

コメントなし

「NetIB News」「データマックス」は善か悪か?信念か金か?さらなる役員構成変更の意図は?(第9弾 前編)

梅雨が明け真夏日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか? 昨年にも増して暑さが厳しく感じられますね。 しばらく酷暑は続きそうですが、読者の皆様もお体に気をつけてお過ごしください。 さて、昨年も報じてきた「データ・マ […]

コメントなし

「NetIB News」「データマックス」は善か悪か?信念か金か?(第8弾 後編)

後編 「役員構成変更に見え隠れする児玉氏の未来図とは」 前編に続いてデータ・マックスグループの役員構成について考えた。 ※同役員構成については、「NetIB News」「データ・マックス」は善か悪か?信念か金か?(番外編 […]

1件のコメント

石川の一撃記事一覧

Copyright© 2017 データミックス All rights reserved.