北海道内、ナマコ密漁最多 昨年の逮捕、暴力団員ら50人 「所場代」徴収も
- 事件・事故
- 2019年5月19日
道内でナマコの密漁に関わったとして昨年逮捕された暴力団員らは50人に上り、過去5年間で最も多かったことが18日、道警への取材で分かった。道産ナマコは中国で高級食材として流通しており、暴力団は闇取引だけでなく、漁場の縄張りを決めて密漁者から「所場代(場所代)」も徴収し、不法な利益を得ているとされる。資源枯渇が深刻化する中、密漁が活発化する夏に向け、道警は警戒を強めている。
「浜からナマコが消えている。このままでは生活できなくなる」。石狩市浜益区の30代の男性漁業者は危機感をあらわにした。
昨年5月、浜益地区で起きた密漁事件で暴力団員ら18人が逮捕された。道警によると、水深数メートルの沿岸で潜水具を使い、一晩でナマコ約450キロ(約230万円相当)を捕ったという。
石狩湾漁協(石狩市)によると、浜益地区の資源保護のため、水深15メートル未満を禁漁区域とし、漁業者1人当たりの漁獲も2016年3トン、17年2・5トン、18年2トンと制限している。ある漁業者は「われわれの1年分の4分の1の量がたった一晩で奪われた。これでは資源を守れない」と嘆く。
道警は昨年、稚内市とオホーツク管内雄武町でも密漁団メンバー計32人を逮捕したが、「密漁団は乱立模様で摘発は氷山の一角にすぎない」(捜査関係者)。
道警によると、流通ルートについては道内の水産加工業者が相場より2割ほど安い価格で密漁品を引き取り、市場などの正規ルートで仕入れたナマコと一緒にし、乾燥加工などをしているとされる。捜査関係者は「正規品に密漁品を混ぜ、出所を分からないようにして中国に輸出している」と明かす。
また、暴力団は密漁に自ら手を染めるだけでなく、数年前からは沿岸部にそれぞれの縄張りを設け、外部の密漁者から漁獲量に応じた所場代も取っているという。例えば所場代を1キロ当たり100円にした場合、1トンを捕った密漁者から10万円を受け取る仕組みだ。
道によると、道内のナマコの水揚げ量は減少傾向にあり、17年は前年比171トン減の1972トンと15年ぶりに2千トンを割った。これに対し、現在の価格は1キロ当たり4千円前後と15年前の約6倍に高騰している。
一言コメント
全容解明を急いでもらいたい。
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