板門店宣言から1年 北朝鮮、南北対話ほぼ閉ざし 記念行事は韓国単独
- 国際
- 2019年4月28日
【ソウル堀山明子】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が朝鮮戦争の終戦宣言の早期実現などで合意した「板門店(パンムンジョム)宣言」から27日で1年を迎えた。2月の米朝首脳会談決裂後、北朝鮮は南北対話をほぼ閉ざし、記念行事の共同開催の呼びかけにも沈黙。韓国は単独で祝賀行事を開き、米朝の「仲介役」を果たせない現状をそのまま内外に示した。
軍事境界線のある板門店の南側で27日夕開かれた記念行事には約500人が参加。日本のピアニスト、上原彩子さんら日米中韓4カ国のアーティストが演奏を披露した。
文大統領はビデオで演説し「板門店宣言は一つ一つ履行されている」と述べ、「(昨年9月に北朝鮮・開城(ケソン)に開所された)共同連絡事務所で南北が常に会って鉄道と道路を連結するための準備も終えた」などと成果を強調した。一方、南北対話が中断している現状には触れず、「難関を前に一息入れて道を探さなければならない時もある」と非核化への努力を続ける姿勢を示した。第4回首脳会談を呼びかけることはなかった。
南北首脳会談の開催を巡っては、文氏は米韓首脳会談直後の15日の政府高官会議で「今こそ本格的に準備する時だ」と述べ、場所や形式にこだわらず推進する方針を表明。開催されれば「トランプ米大統領のメッセージを伝える」(政府関係者)と、対話再開へ仲介役を果たす意欲を示したが無視されているため、呼びかけを控えたとみられる。
金委員長は今月12日の最高人民会議での施政演説で「『仲裁者』『促進者』の振る舞いではなく、民族の利益を擁護する当事者になるべきだ」と指摘、米韓連携を重視する立場から制裁緩和に応じることのない韓国への不満をにじませた。南北共同連絡事務所で、毎週金曜日開かれてきた所長会議は、米朝首脳会談を控えた2月22日を最後に開かれておらず、首脳会談を推進できる環境にはない。
韓国の役割が揺らぐ中、文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官は、トランプ氏が5~6月に2度訪日することを踏まえ、「5月の早い時期に南北首脳会談を開き、訪日を機に韓国に来るよう、状況をつくりだす必要がある」と提案する。一方で文大統領は25日に「大阪で6月に開催されるG20(主要20カ国・地域首脳会議)でプーチン露大統領との再会を楽しみにしている」とも発言しており、政権内では、米中露の首脳陣が参加するG20の活用論が浮上している。
◇南北合意の進捗(しんちょく)状況
▽朝鮮半島の非核化=検証を伴う行動なし
▽2018年内の朝鮮戦争終戦宣言と平和体制構築のための3者か4者会談=見通し立たず
▽南北共同連絡事務所=昨年9月に開所
▽南北鉄道の連結=昨年12月に着工式のみ実施
▽南北の軍事的緊張緩和=部分的に進行中
▽離散家族再会=昨年8月実施、映像再会はまだ
▽秋に文大統領が平壌訪問=実施
※その後に合意した金委員長ソウル訪問は実現せず
一言コメント
またお得意の反日政策でかわすとか?
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