露朝首脳会談、成果乏しく 非核化交渉「協力」で露の影響力未知数
- 国際
- 2019年4月27日
【ウラジオストク(ロシア極東)渋江千春、大前仁】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は26日、専用列車で帰国の途についた。プーチン露大統領との初めての首脳会談で非核化交渉への協力は取り付けたものの、ロシアが実際にどの程度影響力を発揮するかは未知数だ。経済協力の具体的合意もなく、会談は両首脳の顔合わせに終わった印象だ。
「米国が北朝鮮の体制を保証することが先決だ」。プーチン大統領は首脳会談後の記者会見で、朝鮮半島の非核化問題において北朝鮮を後押しする立場を鮮明にした。
ロシアは北朝鮮が2018年以降に核やミサイル実験を凍結している点を取り上げ、制裁を解除すべきだと訴えてきた。プーチン氏は制裁が続けば帰国させる必要がある自国内の北朝鮮労働者について、「騒ぎを大きくせずに解決する方法がある」と発言。制裁を巡り何らかの対応策があることをにおわせた。
ただ、プーチン氏の影響力がどの程度あるのかは不明だ。プーチン氏は26日から北京を訪れ、中国の習近平国家主席に今回の会談内容を報告するほか、トランプ米大統領にも伝える意欲を示す。しかし、米露首脳間では対話が止まっている状態だ。プーチン氏にとって「北朝鮮カード」にどの程度利用価値があるのかも分からない。
一方、北朝鮮メディアは26日、金委員長が会談中に、2月の米朝首脳会談で米国が「一方的で善意のない態度を取った」と批判し、朝鮮半島情勢が「膠着(こうちゃく)状態に陥り、原点に戻りかねない危険な域に至った」と発言したと伝えた。金委員長は「朝鮮半島の平和と安全は米国の今後の態度によって左右される。我々はすべての状況に対応する」などと非核化方針の見直しも示唆。露朝会談の場を利用し、米国をけん制した形だ。
金委員長は26日、第二次世界大戦戦没者の追悼施設で献花した後、父の故金正日(キム・ジョンイル)総書記も訪れたレストランでコジェミャコ沿海地方知事と昼食を共にしたが、経済視察は行わなかった。北朝鮮はロシアとの経済協力拡大を望むが、国際社会による北朝鮮に対する制裁の枠組みに参加するロシアは十分に応じられないのが現状だ。
一言コメント
今度はどこの国のトップと会うのかな?
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