巨大IT規制 行政処分も視野 政府が検討、ネット通販から
- 企業・経済
- 2019年4月20日
巨大IT企業に対する規制のあり方を検討している政府の作業部会の中間報告案が19日、判明した。独占禁止法を補完する形で「新たな法制化」を行い、違反企業に対する改善命令など行政処分の導入を検討する方針を盛り込んだ。また、規制はネット上で多様な店舗が出店する「オンラインモール」などを対象に先行実施し、必要に応じて他の業態に広げる考えも明記した。
政府は「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業が契約条件の一方的な変更などを通じて取引先に不利益を強いることがないよう新たな規制のあり方を検討。経済産業省と総務省、公正取引委員会の合同検討会に設置された作業部会が3月から非公開で議論を行い、4月24日に開催される検討会に報告する。
報告案によると、違反事案などへの監視は、独禁法の中で巨大IT企業に特化した指針の制定▽取引先による事業者団体の設立▽独禁法40条に基づく強制調査も活用した継続的な実態調査――などを通じて実施。その上で取引の透明性を高めるため、契約条件の開示を義務付ける新たな法制化を検討すべきだとした。早ければ来年の通常国会への法案提出を目指す。
規制に実効性を伴わせるため、改善命令や体制整備命令などの行政処分を含めて検討することが必要と指摘。イノベーション(技術革新)を阻害しないよう巨大IT企業側の一定の自主性に配慮しつつ、「実効性を十分に担保できる強度の措置が必要」と明記した。
公取委による実態調査の結果も踏まえ、当面の規制対象はネット通販で利用者が多いオンラインモールと、スマートフォン用アプリなどを売るアプリストアの運営事業者とする。今後の調査で、業態や規模の大きさごとにどのような問題が確認されたかによって柔軟に対象を広げる。
企業が持つ個人データを、本人が自分の意思で別の企業に移せる「データポータビリティー」制度についても検討した。巨大IT企業間の競争を促し、利用者がプライバシー保護などを徹底する企業を選べるようにするためにも同制度を導入する必要性があるとした。【和田憲二】
◇巨大IT企業のルール整備に関する政府の中間報告案のポイント
・プラットフォーマーは取引先事業者や消費者に便益を与えるが、寡占や独占が生じやすく、公正な取引慣行の構築が必要
・過剰規制で新たなイノベーションを抑止してはならず、バランスの取れたルール整備が必要
・市場の透明化・公正化促進に向け、独占禁止法を補完する新たな法制化を検討
・民事訴訟だけでは取引事業者の十分な救済が行われない恐れがあり、行政処分を含めた検討が必要
一言コメント
政府もかなり危機感あるね。
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