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消費税対策、6兆円超の効果は 税率10%まで半年、“成功体験”にできるか


 10月に予定される消費税率10%への引き上げまで、半年を切った。過去に5%と8%に引き上げた際は消費や成長率の下押しを招いており、今回、政府は6兆円を超える手厚い対策を講じている。消費税率を引き上げても、景気を冷やさないモデルケースをつくり、消費税増税の“成功体験”にできるかが問われている。

◆過去2回は成長鈍化

過去2回の増税のタイミングに成長が鈍化したのは、当時の実質国内総生産(GDP)成長率をみると明らかだ。税率を5%に引き上げた1997年度は前年度比0%で、98年度は0.9%減となった。8%に引き上げた2014年度も実質GDP成長率は0.4%減と21年度以来、5年ぶりのマイナスに転じている。

1997年4月に5%に引き上げた際は7月にアジア通貨危機が発生、11月に山一証券が破綻するなどしており、経済の減速は消費税増税の影響だけではないとする声も多い。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの藤田隼平研究員もその事実を認めた上で「増税後の買い控えや、増税に伴う物価上昇の影響で、個人消費が増税直後に大きく落ち込んでおり、増税の影響も大きかった」と語る。

個人消費はGDPの6割近くを占め、成長率を左右する重要な要素だ。おおむね右肩上がりが続いているが、増税が行われた97年度の個人消費は256兆円で、前年度の258兆円から大きく下がっている。

個人消費の落ち込みがより顕著に表れたのが2014年4月に8%へ増税したときだった。増税幅が3%と大きかったことに加え、前年から東日本大震災の復興に必要な財源を確保するための復興特別所得税が導入されたこともあり、14年度の個人消費は前年度の302兆円から294兆円へと急落した。

こうしたことを教訓に「経済に影響を及ぼさないよう、あらゆる施策を総動員する」(安倍晋三首相)と講じられたのが、今回の消費税増税対策だった。

その規模は、19年度予算で2兆円もの対策費を計上したほか、住宅ローン減税の拡充などを含めると計約6兆6000億円で、10%への増税によって生じるとされる6兆3000億円の国民負担増を上回るものとなった。

充実した対策が講じられたことで藤田氏も「個人消費への影響は過去2回の3分の1程度にとどまり、腰折れは回避できるのではないか」と話す。

◆海外動向にリスク

しかし、懸念がないわけではない。第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは「米中貿易摩擦など海外経済の動向や、日米の物品貿易協定(TAG)交渉の結果次第では景気が想定以上に悪化するリスクは十分にあり得る」と話す。

足元では米中貿易摩擦の影響で、中国経済の減速が顕在化し日本の輸出や生産も鈍化。国内経済も3月の月例経済報告で、景気判断を3年ぶりに引き下げるなど、減速懸念が広がっているためだ。

また、政府は増税による国民負担を上回る対策を講じた点を強調するが、対策には公共事業による景気刺激策の国土強靱(きょうじん)化対策(約1兆3475億円)も含まれており、こうした対策は家計の負担軽減には直結せず、消費を押し上げる効果は限定的との見方もある。

幼児教育の無償化(約7764億円)や、キャッシュレス決済に伴うポイント還元(約2798億円)といった対策の恩恵も幼い子供を持たない層や、キャッシュレスへの対応が遅れている層には及びにくいとの指摘もあり、大和総研の長内智シニアエコノミストは「高齢者など一部の恩恵を受けにくい人への影響を注視していくことが重要だ」と話している。

SankeiBiz

 

 

一言コメント
消費者心理が下向けば失敗に終わるだろう。


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