西武信金、組関連企業に融資か 週明け金融庁検査へ
信金大手の西武信用金庫(東京都中野区)が、指定暴力団の関連企業に融資していた疑いがあることが関係者への取材で明らかになった。ペーパーカンパニーを含む複数の企業に数年間にわたって融資を繰り返していたとみられ、暴力団の活動資金として使われた可能性がある。金融庁もこうした事実を把握している模様で、週明けにも集中的な立ち入り検査に着手する。内部管理態勢の不備などが明らかになり次第、信用金庫法に基づく行政処分を検討する。
西武信金を巡っては、投資用アパート・マンション向け融資で、物件の価値を過大に見積もって過剰融資を行っていた疑いもあり、金融庁が昨年11月以降立ち入り検査を行っている。関係者によると、同信金の落合寛司理事長は反社会的勢力との関係を含めた一連の問題の責任を取って辞任する意向を金融庁に伝えているといい、トップの進退に波及する可能性がある。
関係者によると、西武信金が融資を行っていたのは、都内に拠点を持つ指定暴力団の関係者が経営に携わっている企業で、事業に実体がないとみられるケースもあった。西武信金は、これらの企業を「反社会的勢力に該当する」として内部のデータベースなどで管理しており、不適切な融資と認識していたという。融資金の一部は暴力団に回り、活動資金に使われた可能性が高い。
金融庁は昨年11月以降の立ち入り検査の過程で、反社会的勢力との関係についても把握した模様だ。詳細を集中的に調べるため、体制を組み直し、本格的な検査に入り直すことにした。
政府は2007年6月、暴力団による対企業暴力の根絶と資金源の遮断を狙った企業向けの指針を策定した。しかしみずほ銀行で13年、傘下の信販会社を通じた暴力団員らへの融資を放置していた問題が判明。金融庁は14年に監督指針を大幅に改正して暴力団排除の徹底を金融機関に厳しく求めてきた。
西武信金経営企画部は、毎日新聞の取材に「金融庁の監督指針や内部の規定に基づき反社会的勢力の排除に取り組んでいるが、個別の事案については回答を差し控える」とコメントした。【鳴海崇】
◇西武信用金庫
1969年に2信金が合併して発足した。東京都と埼玉県、神奈川県で計74店舗を展開し、2018年9月末の預金額は、全国261信用金庫で14位の2兆643億円。18年3月期の本業のもうけを示す業務純益は144億円。西武鉄道などの西武グループとは資本関係がない。
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