VTuberシーンは早くも混沌化 増え続ける新規参入と芸能界への進出
- 政治・経済
- 2019年3月31日
2017年後半から突如、話題を集め始めたバーチャルYouTuber(以降VTuber)。早々に大きなムーブメントを巻き起こした要因としては、キズナアイというスターの登場が挙げられる。新たなシーンの誕生と同時にスターが現れたことの相乗効果は大きく、世間の耳目を集めるだけでなく、企業側も次々と新規参入。キャラクターIPとしてビジネス化する動きも多く、タレントや音楽アーティストとして、活躍の場を広げるケースも散見される。VTuberシーンにおける新たな動きを追っていく。
◆音楽やドラマからもスター候補が次々登場
2017年後半から活発化したバーチャルYouTuber(VTuber)は、18年に入るとゲーム系プラットフォームやアニメーション制作会社など、キャラクタービジネスに近い企業による参入が相次ぎ、その勢いはますます加速。芸能プロダクションや音楽レーベルにまで拡大している。YouTube上に独自コンテンツを発信する、いわゆるYouTuberの派生形という位置づけだけでなく、彼らをタレントや俳優、アーティストとして配信プラットフォームやSNS以外のフィールドへ送り込む動きも増加。バーチャルキャラクターによる芸能界進出が顕著化している。
◆カギはリアルといかに融合するかマネタイズも課題に
では、タレント活動やアーティスト活動を行っていくうえでVTuberの利点はどこにあるのか?
まず前提として日本においては、アニメーションやCG キャラクターに対する抵抗感が少なく、そうした存在に親近感を持つことができるユーザーが多く、さらに、そのキャラクターの世界観を長期間にわたり丁寧にプロデュースできる人材も、ゲームやアニメ業界を中心に揃っている、という点が挙げられる。
そのうえ、VTuber独自の特長として、“自社開発で自由に稼働することができる”という点が大きい。これにより、(1)容姿や衣装、ロケーションの制約が少なくなり、基本コンセプトやキャラクターの世界観を壊さない範囲であれば、シーンやテーマに合わせて自由に変更が可能。加えて、(2)時間や場所の制限も少なく、例えばライブイベントなどは数ヶ所同時開催が可能、といったところも強みとなるだろう。
ただし、バーチャル内に留まっている分には上記した利点は発揮しやすいものの、タレントやアーティストとして活動していくのであれば、いかにリアルとバーチャルを融合させていくかが課題となる。さらに無料コンテンツとしてYouTubeなどで活動し、インフルエンサーとして活躍することはできるかもしれないが、そこを起点にどうマネタイズしていくのか、という点でも、いまだに成功事例は少ない。そうした課題をクリアしていく意味でも、タレントやアーティストとしてVTuberを開発・育成し、憧れの対象として、その“スター性”を発揮していくという方向性は、1つの突破口となるだろう。
VTuberシーンに参入している各社の動向に注目していきたい。それぞれがこれまで培ったノウハウを活かし、“アイドル”や“スター”の育成を行い、マネタイズへの模索を行っているのか。そのチャレンジを今後も追っていく。
一言コメント
果たしてリアルYouTuberを超えられるか?
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