タクシー10人死傷事故、元運転手に禁錮5年6カ月判決
- 事件・事故
- 2019年3月28日
2016年12月、福岡市博多区の原三信(はらさんしん)病院にタクシーが突っ込み、3人が死亡、7人が重軽傷を負った事故で、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)罪に問われた元タクシー運転手の松岡龍生(たつお)被告(66)の判決が27日、福岡地裁であった。平塚浩司裁判長は「被告がアクセルペダルとブレーキペダルを踏み間違えた」と認め、禁錮5年6カ月(求刑禁錮7年)を言い渡した。
判決によると、松岡被告は16年12月3日、博多区の路上で、アクセルとブレーキを踏み間違えてタクシーを時速86キロまで加速。近くの原三信病院東館のテラス付近にいた博多区の花田盛幸さん(当時44)と妻の美佐代さん(同44)、遠藤一行さん(同53)をはねて死亡させた。さらに館内まで突っ込み、ラウンジにいた7人にけがをさせた。
判決は、速度やアクセル、ブレーキの状況を記録した装置「イベントデータレコーダー(EDR)」の解析などから、「踏み間違えたと強く推認される」と判断。この装置に記録されたタクシーの速度が防犯カメラ映像などから算出した速度と一致した点も踏まえ、弁護側の「ブレーキを踏んだが、踏み込めなかった。踏み間違えておらず、車両に不具合があった」「EDRの記録は正確でない」とする無罪主張を退けた。
弁護側は「車内の駆動系のコンピューターが誤作動を起こした」とも訴えたが、平塚裁判長は「コンピューターには不具合があれば減速する仕組みがあり、考えがたい」として退けた。松岡被告が運転席側のドアが開いた状態でタクシーを発進させたことから、「ペダルの正しい操作に意識を向けることができなかったと考えられる」と指摘した。
量刑理由として、「何の落ち度もないのに命を落とした3人の無念さは察するにあまりある。両親を失う事故を目の当たりにした小学生をはじめ遺族の悲しみは深い。ペダルを目視で確認することもでき、結果を回避する可能性は十分にあった」と述べた。
一言コメント
妥当な判決だろうが、失ったものは大きい。
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