eスポーツに賛否 部活取り入れの動きも根強い反対
- スポーツ
- 2019年3月25日
対戦ゲームで勝敗を競う「eスポーツ」が広がりを見せる中、学校の部活動に取り入れる動きが出てきた。業界への企業の参入が相次いでいることや、プロ選手を養成する専門学校が設立されたことなどが、流れを後押ししているようだ。ただ、教員らの間では反対意見も根強く、教育現場は揺れている。eスポーツは「ゲーム」か「運動」か-。浸透に向けては課題も浮かぶ。(高力悠一朗、橋本昌宗)
●学校でeスポーツ
夕方の校舎に、コンピューターゲームをプレーする音が響き渡る。生徒が隠れてやっているのではない。れっきとした学校の部活動の一コマだ。
愛知県立城北つばさ高校(名古屋市)には昨年4月、「eスポーツ部」が誕生した。平成29年に開校したばかりの同校では部活動の設置も手探り状態で進められ、校長の発案で決まったという。
鳴沢由紀子教頭は「『eスポーツはスポーツなのか』という意見はあったが、学校に興味を持っていなかった子も居場所ができた」と力を込める。車いすの部員もいて、一緒に楽しんでいるという。
茨城県立大洗高校(同県大洗町)では、今年4月からeスポーツの部活動を立ち上げようと検討が進められた。関係者によると、同県では今年9~10月、国民体育大会が開催され、都道府県対抗のeスポーツ大会の実施が決まっていることもあり、生徒が発案。しかし、教職員から「学校で堂々とゲームをさせていいのか」といった反対意見が上がったという。
●プロ野球も参入
揺れる学校現場だが、国内のeスポーツをめぐる動きは加速している。
昨年2月には、eスポーツをプロ競技として普及する一般社団法人「日本eスポーツ連合(JeSU)」が発足。Jリーグもeスポーツに参入し、すでにJ1クラブ15チームが推薦する選手などによる大会が開かれている。
プロを養成する専門学校も登場し、各地には対戦施設が続々とオープン。昨夏、インドネシアで開かれたアジア競技大会では、公開競技ながらサッカーゲーム「ウイニングイレブン2018」で日本人が優勝し、注目を集めた。
プロ野球も今年1月にリーグ開催を発表した。東京都も来年度予算に大会開催費を盛り込み、将来的には五輪の正式種目入りを目指す動きも出てきた。
●五輪で「意識変わる」
総務省などによると、eスポーツの世界の市場規模(平成29年)は700億円に達するという。普及が進む米国では20億円を超える優勝賞金の大会も開かれる。韓国では専用のテレビ局もあり、スター選手が生まれ、子供らの人気職業の一つにもなっている。
一方、日本の市場規模は5億円にも満たず、大会賞金も規制などでようやく昨年12月、1億円を超える賞金の大会が開かれたばかり。米国や韓国のようにeスポーツの普及を支えるパソコンゲームの利用者が少なかったことが遅れの要因とみられている。
浸透は進むのか。eスポーツに詳しい慶応大大学院の中村伊知哉教授(メディア論)は「五輪で正式種目化されれば、日本人に根強い『ゲームはスポーツではない』という意識も変わっていき、普及が加速していくのではないか」と話している。
インターネット調査会社「マイボイスコム」(東京)が昨年7月に実施した「eスポーツに関するアンケート」によると、eスポーツの認知度は4割強にとどまっているという。
10~70代の男女計1万514人が回答。eスポーツを「知っている」と回答したのは18・5%で、「名前は聞いたことがある」との回答は25・4%だった。
一方で、「知らない」は56・2%。別の質問で、「興味がある」「まあ興味がある」との回答は計6%にとどまった。自由回答でも否定的な意見が目立ち、「無理にスポーツにする必要はない」「『eゲーム』でいいのでは」との声も寄せられた。
一言コメント
やっぱスポーツとは思えないなあ…
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